足場があるうちしかできない防水工事
新築当初、仕上げとして防水モルタルを施工された箇所があります。
モルタルなので、経年により防水機能はなくなり、水は浸透していきます。
普段は手が届かない場所や、目に入らない場所は足場をかける際に徹底的に調査・施工を行いたいです。
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最上階にあるサービスバルコニーの庇。十数年経過し、防水性は薄いと思われる。
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出窓の庇。下は室内なので、確実に防水施工したい箇所である。
改修時期に差し掛かる建物をみていると、外壁塗装は施しているが、庇にはモルタル仕上げだけの建物が多いです。
壁面は打ち放しコンクリートに塗装仕上げ、庇はコンクリートにモルタル仕上げでいいのでは? と言われる方もおられるでしょうが、昭和40年以前に建てられた建物は、壁面はモルタルで仕上げられていて、その上に塗装で仕上げている場合が多く、そういう場合でも「庇や小屋根はモルタルのまま」であることが多々ありました。
昭和40年以前の建物なので、ほとんどが改修工事を行っているのですが、改修工事の際は、モルタル面にも新規の仕上げ材を施工されていることが多いです。
新しい仕上げ材が施されてはいるものの、モルタルの素地がわかる程度の塗装仕上げで完結している場合が多く、建物によっては簡単に剥げているところもあります。
水平箇所や斜めの箇所は、垂直の壁面(通常の壁面)よりも防水性を考慮した仕上げにしないと、建物の劣化を進行させてしまいます。
そうならないために、仕上げ材は防水性の高い塗料、理想は塗膜防水などを行うことをお勧めします。
降雨時に常時雨にさらされていた箇所は、表面がざらざらしていたり、雨垂れで変形していたりするので、ポリマーセメントモルタルなどでの下地調整が必要になります。
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サービスバルコニーの床面。防水モルタルで仕上げられている。
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飾り柱の上部は、モルタルではなくコンクリートのままだった。
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モルタル仕上げではなく、壁面と同じタイルで仕上げられている。目地モルタルからの浸水が考えられる。
下地調整、水分の有無などを確認し、防水処理を行います。
タイル面は、タイル面専用の透明な防水材を施工するか、全体にポリマーセメントモルタルで下地調整をかけて平らにし、防水処理を施すという考えもあります。
足場がある内に、普段はメンテナンスが出来ないところをしっかりと見ておきましょう。
足場がなくても工事が可能ですが、普段滅多にみられる場所ではないので、新築時から施工がないがしろにされている場所が多々あります。
そのような場所も目をつぶるのではなく、漏水の原因・躯体の寿命を短くする要因ととらえ、しっかり対処していきましょう。
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高架水槽付近の床面。コケの繁茂が見られる。
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塔屋屋根にある壁の天端。上部をしっかり防水処理しないと、壁面に雨水が浸入する。
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アンテナ架台のモルタル状況。コンクリート面もあり、全体的な下地調整後の塗膜防水処理が望まれる。
狭い場所、架台へは塗膜防水が有効です。
→ 「<ウレタン塗膜防水>とはどんな工法?」
→ 「ウレタン塗膜防水の欠点・デメリット」
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