屋上の「謎の植物」(雑草への対応)
屋上防水工事の事前調査では、排水ドレイン付近に生えている植物を結構な割合で目にします。
自然が近くにある建物だけでなく、街中の建物でも見受けられます。
なぜだろう。 種がないと植物は出てきません。
防水の調査を始めた当初はない脳みそをフル回転させて考えました。
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排水ドレインから生えた植物。鳥などが種を運んできた、もしくは風で運ばれてきたものと思われる。
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排水ドレイン付近に生えている植物。詳しく知らないが、大きくなりそうな気がする。
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押えコンクリートの目地から生える植物。
コンクリートやモルタル内に種が混入していた? そんなばかな。
人の靴に付いていた種が落ちた? あり得るがトレッキングシューズじゃあるまいし。
風が強い日に運ばれてきた? 一番可能性が高いな・・
ある日心のもやもやが一気に晴れたのは、屋上で鳥の糞を見付け時でした。
「あー、なるほど」 その鳥の糞には、いくつもの木の実が入ってました。
屋上に生える植物の一部は、鳥が運んでくるのでした。
もちろん、木から直接落ちてくるところもあります。
風が運んでくる種類もあるでしょう。
しかし、鳥の糞を見付けたその日から、「鳥の糞アンテナ」 が頭の中に立ってしまい、屋上調査の際は、かなりの確率で種入りの鳥の糞を見付けるようになりました。
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ゴムシート防水の立上り部分が破れている。鳥によるいたずらか?
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上の写真の接写。
のぞいてみたら、雨水となにやら丸っぽい異物も入っている。
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上の写真で、下の部分をカッターで切ってみたら、植物の種がたくさん出てきた。鳥が運んできた種を、ストックするためにゴムシートに穴を開けて貯めていたものか。鳥の専門家でないので分からない。
しかし喜んでばかりはいられません。 植物の根っこは建物、特に防水層に影響を及ぼす事が多いからです。
屋上緑化を御存知でしょうか。
屋上に草花を設置するために、防水層の上に施工する緑化システムです。
防水メーカーなどから様々な緑化システムが提供されていますが、どのシステムも 「耐根シート」 と呼ばれるシートを設置します。
どこに? 防水層と植物の間です。
なぜ? 根っこが防水層を突き破るからです。
防水層を突き破るとどうなるの? 当然、漏水や躯体の劣化を引き起します。
じゃあ屋上緑化は耐根シートを使うしかないね、となります。
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植物の繁茂。以前給水で使用されていた架台は、防水層が破断していた
通常の屋上は、耐根シートなるものを設置していません。
したがって、植物を生やせば防水層を根っこが突き破る可能性が非常に高いです。
とある日の、とあるマンションの管理組合理事長との会話です。
私 「屋上に植物が生えているのですが・・」
理事長 「えっ!?」
(一緒に屋上をみて)
理事長 「うわっ、屋上緑化ですね!」
私 「なるほど・・・。 ・・いやいや。
漏水の報告はないですか?」
理事長「今のところありません。抜いときますか」
私「止めときましょう。
漏水が起こる可能性があります」
理事長 「えっ!??」
そう、生えている植物を抜くと、漏水の可能性が少なからず出てきます。
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排水ドレインからの植物生育。
ほとんどの植物は根を伸ばします。
それが防水層を突き破る、もしくは防止シートのラップ部(継ぎ目)などの弱い箇所から防水層へ侵入し、強いものになると躯体へも影響を与えてしまいます。
防水層やコンクリートに穴を開けるわけです。
しかしその時点では防水層やコンクリートに水が入ってこないことが多いです。
しかしこの根を引っこ抜いた時、穴が開いてしまっているので、今まで根が張っていた場所へ水が入ってくるというわけです。
植物の生育が確認されたら、まずは上に出ている部分を切断します。
その上で除草剤をかけます。
この除草剤は、屋上防水層でも使用できるものを用います。
そして新規の防水層を施工します。
根っこが枯れずにコンクリート内や防水層内に残っていると、また育ってくる可能性があります。
新規の防水層を無駄にしない為にも、しっかり処置をしたいです。
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