防水施工の不具合(ゴムシート防水の上に塗膜防水)
完全に相性が悪い訳ではないものの、ちょっとしたことが原因で不具合が生じたと思われる防水施工を見ることがあります。
今回はゴムシート防水の上に塗膜防水を施工した事例について見ていきます。
<写真>
ゴムシート防水の上にウレタンゴム系の塗膜防水を施工している。付着はしていない様子。
上の写真は、ゴムシート防水と思われる下地に、ウレタン系の塗膜防水を施工した後のやぶれです。
やぶれの原因は物理的なこと(鳥害など)かもしれないですが、そこから劣化が広がっていっております。
ゴムシートにも適用できるプライマーを使用すれば、この様な事はおこらないのかも知れません。
<写真>
ゴムシートの切れ端に、ウレタン系塗膜防水の保護材を塗布したところ。溶剤系ということもあって、ゴムシートが著しく変形していった。
上の写真は、溶剤系のトップコートをゴムシートに塗布したらどうなるかを試したものです。
ご覧のとおり、著しく変形してしまいました。
よって、もしゴムシートの上に溶剤系のウレタン塗膜防水を施したい場合はどうすべきかを考えなくてはなりません。
メーカーによっては、相性が良くないのでゴムシートとウレタン防水との組み合わせでは防水保証を出す事は出来ないというところもあります。
しかし某メーカー(Mベルト)では、ゴムシートとあらゆる材料の接着性をよくする材料を取り扱っており、それを使用することで課題を解決することが出来ました。
あらゆるとはいいましたが、やはり限度があると思われますので、メーカーに問い合わせてみるとよいでしょう。
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ゴムシート防水のみでは納まりが困難と思われる箇所へ、ウレタン塗膜防水を併用している様子。
上の写真は、屋上から共用廊下の庇(ひさし)への排水経路を、ゴムシート防水で納める事が困難と考え、ウレタン塗膜防水(高粘性)との併用で仕上げた箇所です。
やはり、ゴムシートとの相性を考え、前途のプライマーを使用しました。
相性云々を考えなくて、その場だけ完了すればいいという考えで施工して後で心配になるのと、信頼性の高い施工方法によって数年後の安心を手に入れるのは、精神的に大きな差がありますが、その出費は微々たるものです。
今だけの施工ではなく、数年後の安心を手に入れましょう。
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