仮防水 どんな種類がある(1)?
「仮防水 しないとどうなる?」では、仮防水というものの必要性について記しました。
漏水を起こす可能性が全くないという屋上のコンクリートスラブを作るには、かなりの手間と労力が必要です。
よって、防水改修工事を行う際に、旧防水層を撤去して、新しい防水層を施工するまでの間は、何らかの対応をしなければならないことが多いです。
その中の主たるものに、「仮防水」という方法があります。
仮防水を施工することによって、急激な雨に降られた際にも、施工している場所からの雨水の浸入を防ぐ事ができます。
では、具体的にどんな種類のものがあるのか――
ここでは主に、ポリマーセメントモルタルについて記していきます。
<ポリマーセメントモルタル>
先ずは、以前からよく使われているものの一つに、 「ポリマーセメントモルタル」があります。
これはモルタルに、ポリマー(有機高分子材料)を混和したものです。
ポリマーを加え、材料性能を改善することで、コンクリートやモルタルの劣化補修材、仕上げ の改修工事の際の下地調整材などに使われます。
その使用目的の一つに、仮防水があります。
主に、旧防水層を撤去した後の、新規防水材を施工する前の下地調整材として使用されるのですが、それとともに仮防水の役割も果たすというものです。
ポリマー(有機高分子材料)の働きにより、水密性が増すことで、雨水の浸入を抑制するのです。
注意する点は、下地の種類によっては効果がない場合があります。
例えば材料自体は非常に優良ですが、下地に挙動(動き)がある場合、下地と強固に接着するポリマーセメントモルタルは、下地と共に割れる可能性も秘めています。
さらに、これは仮防水としてではなく、ポリマーセメントモルタルの取り扱いとしてですが、下地に吸水性がある場合(コンクリートやモルタルなど)は、吸水調整(下地を湿潤状態にするか、適正なシーラーを事前に塗布する)が必要になってきます。
ポリマーセメントモルタルが使用できる下地は、
●アスファルト防水やシート防水などの、旧防水層を撤去した後
●モルタル、コンクリート面
●金属笠木 などです。
施工後は、コンクリートやモルタル面のように、あらゆる防水改修が可能なので、広く使われています。
又、エマルション系塗膜防水材を扱っている防水材メーカーO社の、一番基本となる防水工法「A」は、以前から防水改修の際の仮防水材としても利用されていました。
そのO社が2015年から世に出した仮防水材「Z」は、ポリマーセメント系の仮防水材でありながら、適度な柔軟性を持ち、使い勝手も良好なので、今後の広がりに期待が持てます。
使用方法等、気になる点があれば、迷わず材料メーカーに問い合わせることをおすすめします。
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