大規模修繕工事を成功させる「斜面(セットバック部)の考え方」

斜面は壁?屋根?

斜面は壁?屋根?

 

最上階のなど、広範囲で傾斜になっている箇所や、斜線制限などにより建物の壁面が斜めになっているところがあります。

 

機能性や意匠性を考えた場合は、斜面はなだらかですが、斜線制限によって斜面になっている箇所は、きつい傾斜がついています。

 

 

 

 

屋上から見た斜面になった箇所。屋根と思われるが、塗装仕上げだった。

<写真>

屋上から見た斜面になった箇所。屋根と思われるが、塗装仕上げだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うえの写真を見ていただいて、率直な感想はどうでしょうか。

 

壁ですか? 屋根ですか?

 

藁葺きの合掌造りの屋根、瓦葺きの屋根、急勾配な斜面ですが、屋根です。

 

写真の箇所もおそらく屋根でしょう。

 

ではどうして塗装処理がなされているのか。

 

新築当初の施工がどういう考えで行われていたかは、推測でしかないですが、コストの関係もあるでしょう。

 

同じような箇所でも、コンクリートむき出しの建物もあります(モルタルによる仕上げでもなく)。

 

従来、コンクリートというものは、きっちり設計され、しっかり管理され、適切に養生されれば防水層は不要と言われています(ジャンカもなく、ひび割れも起こらない様につくるので)。

 

しかし目にするコンクリートむき出しの部位は、新築素人目からみて、お世辞にもしっかりしたものだとは言えないものが多いです。

 

塗装仕上げされているだけ、躯体保護にはいいですが、せっかくですから改修時は、塗膜防水を施しましょう。

 

 

同じ様な事例が、タイル面にも見受けられます。

 

 

パラペットがモルタル、外部斜面が小口平のタイルで仕上げられている。

 

<写真>

パラペットがモルタル、外部斜面が小口平のタイルで仕上げられている。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体的に外壁が小口タイルで仕上げられています。

 

写真の斜面の箇所もタイルで仕上げられており、前の写真の塗装部分よりかは勾配が急なので、別にいいのでは?と思われるでしょう。

 

しかし「傾き」があるだけで、垂直に雨水が落ちていく壁面とは違い、水が留まる時間が長くなるので、劣化も壁面よりも進みます。

 

改修の際は、タイル面の補修もさることながら、タイル面専用の防水性能を有したクリア塗料の使用をお勧めします。

 

撥水剤もあり、金額的にも魅力的ですが、防水メーカーから出ているクリア塗料は、施工や仕様によっては防水保証まで出す優れものです。

 

金額は撥水剤と比較すれば、思わず押し黙るものですが、屋根の一部に使用することを考えれば、安いものです。

 

斜線制限によって斜めになっているタイル面。撥水剤を塗布しているが、劣化が進んでいる。

 

 

<写真>
斜線制限によって斜めになっているタイル面。撥水剤を塗布しているが、劣化が進んでいる。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斜面は壁ではありません。 屋根です。

 

それを考慮して仕様を選定すれば、建物の寿命を延ばす手助けができます。

 

 

 

 

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