仮防水 しないとどうなる?
(コンクリートの出来を過信したばかりに―)
私たちは水に恵まれた地球、そしてこの国に住んでいる限り、良くも悪くも「雨」という気象と向き合って生きています。
しかし近年、梅雨時以外にも降雨が続く期間、また異常気象の影響か、「晴天が続く」とテレビや新聞の天気予報で言われていたにも関わらず、夕立やゲリラ豪雨の発生など、急に天候が崩れるといった日が目立ってきています。
そして毎日行われている防水工事は、室内水回りの床面、エレベーターピットなど以外は、当たり前ですが「屋外」で施工されています。
最近では、産業廃棄物を減らす、工程を短縮する、工事中の漏水の危険性を減らすなどの理由で、改修工事も「被せ工法」が目立ってきています。
けれども依然として、既存の防水層の著しい劣化やフクレ、新しく施工する防水材との相性などを考慮し、「旧防水層撤去→新規防水」という工事も行われています。
ここで問題になる事の一つとして、「防水層を撤去しているうちに雨に打たれて発生する漏水事故」があります。
被せ工法が普及してきた背景には、この問題を解決するためという目的が少なからずあります。
しかし前述した理由、そして被せ工法を繰り返すことによる防水層自体の重量が増すことへの対処として、防水層を撤去する工事は、今後も行われていくでしょう。
撤去工法を行っている際に起こる可能性がある漏水事故を、どのように防いでいけばいいでしょう。
そこで「仮防水」という方法が生まれました。
仮防水とは、旧防水層を撤去してから、新規の防水層を施工する間に、「仮」の防水層をつくることです。
これにより、「防水層不在期間」への予期せぬ降雨で漏水事故が起こるという事態を予防する事が出来ます。
施工範囲としては、撤去した箇所の全面に亘る事もあり、床面のみに使用することもあります。
場合によっては、パラペット下の溝にのみ施工することもあります。
新築時のコンクリート施工にただの一つも問題がなく、ひび割れも生じない場合は、仮防水の必要はありません。
しかしそのような建物はめったになく、大抵はひび割れ、コンクリートの継ぎ目、そうそうないですが 鉄筋の被り厚の不足による爆裂・露筋などが見受けられます。
外壁など、他の場所の仕上げを観察することで、新築時の施工会社(ゼネコン)がどれだけ能力があるかがある程度分かります。
場合によっては、外壁や目に見える共用部の仕上げの出来がいいにも関わらず、コンクリート(躯体)の施工がよろしくなく、防水層を剥がしたら「ぐちゃぐちゃ」だったなんてこともありますし、その逆もしかりです。
見た目はしっかりしたコンクリートであっても、気付きにくい箇所に大きな過失があり、それを見逃したばかりに漏水事故につながってしまったなんてこともあります。
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旧防水層である、ゴムシート防水を撤去した後。コンクリートスラブに大小様々なひび割れを確認することもある。
大事を見て、ひび割れへのシーリング材の擦り込みや仮防水が必要である。
<写真>
旧防水層を撤去すると、爆裂・露筋を引き起こす杜撰(ずさん)なコンクリートスラブの施工が確認された。下地の補修・仮防水の必要がある。
一番大切なのは、仮防水が出来る準備をしっかりし、下地コンクリートの状況を迅速かつ的確に判断することです。
では、どのような仮防水があるのか、それは後日の記事に記します。
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