機械的固定工法のメリット
絶縁工法は、下地に完全に着けてしまうのではなく、隙間を作って下地の水分を逃がす事ができる工法です。
その中でも、鋼製のディスクなどを使用した機械的固定工法は、様々な特徴を持っています。
それらを知っておけば、「なんてすばらしい工法なんだ!」と喜べると同時に、「それはこわいな。気を付けないと。」と注意することができます。
ここではそんな機械的固定工法の、優れた点を考えていきましょう。
機械的固定工法のメリット(利点)を4つ挙げると、
①他の工法より天候に左右されない
②工程間にかかる時間が少ない
③下地調整を省略できる
④通気層が広いため、下地の水分を逃がしやすい などです。
<①他の工法より天候に左右されない>
自着層や接着剤を使って張り付ける工法とは違い、機械的固定工法は鋼製のディスクや鋼板などを使って、シートを機械的に設置する工法なので、下地が乾燥してようが水分を帯びていようが関係ありません。
極端に言えば、雨が降ったすぐあとでも水をある程度掃くことができれば、施工する事ができます。粘着層や接着剤で張り付ける工法ではこうはいきません。
<②工程間にかかる時間が少ない>
接着剤を使用する場合は、接着剤を塗布後、ある程度の時間を置いてから張り付けます。
ウレタン塗膜防水も、各層が固まる時間が必要です。
しかし機械的固定工法では、その待ち時間がありません。
ウレタン塗膜防水の絶縁工法では、下地調整をしてプライマーを塗布し、通気緩衝シートを敷いてウレタン防水材を2~3層、最後にトップコートとなります。
その点、機械的固定工法では、下地調整なしで絶縁シートを敷き、鋼板・鋼製ディスクを設置し、新しいシートを敷き込み溶着していくので、工程的にも短縮できます。
<③下地調整を省略できる>
下地に直接接着せずに、新しく設置する金物のみで防水層を固定するので、改めて下地を調整する必要がありません。
新しい防水層を破ってしまうくらいの突起がある場合や、既存防水シートが反り上がっている場合などの、下地が極端に悪いときは、ある程度の調整が必要になります。
シンダーコンクリート(押さえコンクリート)の場合は、形成タイプやエラスタイトの伸縮目地も、後程飛び出してくる可能性がありますので、撤去してバックアップ材+シーリング材を充填するなどの処置が必要です。
<④通気層が広いため、下地の水分を逃がしやすい>
同じ絶縁工法でも部分的に下地に接着させる工法と比べ、金物で固定された場所以外は通気層なので、非常に効率よく下地の水分を逃がすことができます。
その他特筆すべき利点は、①、②、③の内容でも分かるように、工期短縮が図れることでしょう。
あと、塗膜防水と比較して防水層(シート)の厚さが一定なので、品質にムラがありません。
画期的な工法で、良い事ばかり述べていますが、やはり注意しなければならない点もあります。
次の記事では、機械的固定工法の注意点・課題を一緒に考えていきましょう。
知っておけば痛い目に遭わない
→ 「機械的固定工法の注意点・課題」
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