大規模修繕工事を成功させる「絶縁工法の例」

主な防水の絶縁工法は?

主な防水の絶縁工法は?

 

前の記事では、どんな場面で絶縁工法が採用されるかをみてきました。

 

  前の記事→「絶縁工法とはどんなもの?」

 

 

ここでは、「改質アスファルトシート防水」、「塗膜防水」、「合成高分子系シート防水」に採用される「絶縁工法」について考えていきます。

 

 

<改質アスファルトシート防水>

 

改質アスファルトシート防水ならば、2層以上のシートになる場合、1層目の下部はストライプ状の溝が入った自着層(粘着層)があります。

 

これを下地に張り付けることで下地と1層目の間に通気層ができて、下地のなかに残っている水分を逃がすことで、防水層のふくれを防ぎます。

 

改質アスファルトシートの場合は、後述する合成高分子系シート防水と同様の「機械的固定工法」を採用するメーカーもあります。

 

 

<塗膜防水>

 

塗膜防水の場合は、「緩衝シート」というものを用いて施工を行い、「通気緩衝(かんしょう)工法」と呼ぶこともあります。

 

材料メーカーによって工法や材質は様々ですが、主に2通りの工法があります。

 

一つ目は、不織布(ふしょくふ)などの材質で生産された緩衝シートを使用する場合です。

 

不織布なので、内部は通気できます。

 

このシートは、等間隔で穴が開いており、シートを先に下地に設置して、上から塗膜防水材を流すと、塗膜防水材が穴を抜けて部分的に下地へ接着することで、通気ができる防水層を作り出します。

 

二つ目は、改質アスファルトシートと同様に、下部にストライプ状の溝が入った自着層を有したシートを使用する場合です。

 

このシート自体が、改質アスファルトやポリエステルなどの材質を使用しているため、防水層としても機能を発揮します。

 

その上に塗膜防水材を流していくので、かなりの防水効果が期待できます。

 

 

<合成高分子系シート防水>

 

合成高分子系シート防水とは一体なんのことやら、と思う方もおられると思います。

 

材質の違いで5種類ほどあり、その中でも広く扱われているのが「加硫ゴム系シート防水(ゴムシート防水)」「塩化ビニル樹脂系シート防水(塩ビシート防水)」の2種類です。

 

ゴムシートや塩ビシートで絶縁工法を行う場合、他の防水のように通気層を持ったシートを使用する場合もありますが、それとは別の方法でやる場合がほとんどで、その方法というのが少し変わった方法なのです。

 

それは「機械的固定工法」という方法です。

 

機械的固定工法とは―?

 

新しい防水層(シート)を部分的にも下地に接着することなく、代わりに鋼製ディスクや鋼板によって機械的にシートを設置する工法です。

 

一般的に、平場(床面)を機械的固定工法で施工し、立上り(垂直面)は密着工法で施工します(立上りの下地の状態があまりにも悪い場合や、立上りに高さがあるときなどは絶縁工法にする場合もあります)。

 

鋼板で設置する部分は、先にシートを敷き詰める場合は、後から設置する鋼板でシートを固定します(これは主にゴムシートの場合です)。

 

先に鋼板を設置する場合は、その上にシートを敷き詰めてから、シートを熱風で少し溶かしたり、溶着剤で溶かしたりして鋼板に溶着させます(これは主に塩ビシートの場合です)。

 

 

ディスクで設置する部分は、先にシートを敷き詰める場合は、鋼板と同じ様にディスクによってシートを固定します(ゴムシートも塩ビシートもあります)。

 

先にディスクを設置する場合は、機械的固定工法のなかでも特におもしろいやり方でシートとディスクを引っ付けます。

 

その方法とは、ディスクを設置したあとでシートを敷き詰め、このシートの下のディスクの位置を確かめ、「誘導加熱装置」と呼ばれる機器でディスクだけを熱して、その熱さでシートを溶かして溶着させる、なんてすごい方法なのです。

 

この工法は、主に塩ビシートが主体ですが、特殊な加工を施すことで、ゴムシート防水でも採用するメーカーもあります。

 

 

そもそも誘導加熱装置なるものは、直にさわっているシートを熱することはしないで、その下のディスクだけを熱するなんて、果たしてそんな離れワザがどうやったらできるのか。

 

そんなおもしろい話も一緒に、 「シート防水の絶縁工法を知りたい」の記事には、機械的固定工法の特徴を書いていきます。

 

 

→ 「シート防水の絶縁工法を知りたい」

 

 

 

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