大規模修繕工事を成功させる「気持ちのいいバルコニー片付け)」

工事の人は召使いではありません(バルコニー片付けを気持ちよくする)

工事の人は召使いではありません

 

大規模修繕工事の際、居住者のみなさまにはバルコニー内の片付けをお願いしています。

 

バルコニー内の壁や天井の劣化補修や塗替え、出入口のサッシ廻りのシーリング材打替え、床面の防水工事などを行うためには、何もない状態が好ましいからです。

 

作業員が工事の際、妨げにならない場所に移動したり、汚れないように養生したり、一時的に足場の上へ移動したりという処置を行うことがあります(足場の上は危険なのでものは置かないで下さい)が、やはり気を使う分、作業性が低くなる、時間が掛かる、安全面の問題などで、ものはないに越したことはありません。
専用使用権があるからといっても、もともと共用部です。各戸での片付けが基本です。

 

「工事説明会」や「掲示板のお知らせ」などで事前にお伝えするもので、工事の前にはもうスッキリさせている居住者の方もおられれば、旦那さんが不在気味、若しくは年配の方や体が不自由な方など、どうしていいのか悩まれて、ご連絡を下さる方のお宅に施工会社の人間が訪問し、お片付けの手伝いをすることもあります。

 

大きな鉢植えや、手摺にワイヤーで巻きつけたラティスを室内に移動したり、たいしたことないと思ってもかなりの時間を費やします。

 

施工会社の人間がお邪魔すると、すでに奥まった場所にあるひとつの部屋が床一面にビニールシートやブルーシートが敷かれていることがあります。
「出来るとこまでやったんだけど、ここまで運ぶのがつらくてねー」といいつつ、ニコニコしながら栄養ドリンクを手渡されるときは、「頑張ろっかね」と気合をいれざるをえません。
はたまた、まったくどうしていいかわからずに工事の人を呼んで、こちらのお願い通りに片付けを行ってくれる居住者の方からも、積極的にバルコニーをきれいにしたいという気持ちがみえます。

 

このような方々からは、本当に自分たちのマンションをキレイにしたい、守っていきたいという気概が伝わってきて、施工会社の方もよりやる気が湧いてくるものです。

 

 

反面、いざ工事期間に入って、バルコニー内の片付けのお願い期間が済んでも、全くものが移動されておらず、調査さえも困難な状況のお宅もあります。

 

片付けのお願いを再配布ことにより、前述の方々のように問い合わせを下さり、片付けへと動いてくださるとまだ助かります。まだお手伝いのし甲斐はあります。

 

しかしそれでも動いて下さらず、「私は忙しいんだから、そっちでやってよ」、「家の中に動かすのはいいけど、家具や床は汚さないで」との言葉をいただく事があります。

 

工事の契約は、発注者である管理組合が「お客様」、受注者である施工会社が「請負者」であり、「請け負け」という言葉通り、立場は間違いなく管理組合のほうが上です。

 

それでも、「ここまで大事にしてきた修繕積立金をこの会社に任し、一緒になって工事を進めていく」という考えを持ち、我々施工会社のやり方を尊重して動いてくださる多くの方々がいます。

 

反対に、「大事な積立金を使うのだから、色々してもらわないと」と、必要以上のことを強いられることもあります。

 

どちらの場合にしても、お客様には変わりはないので、変わりない工事の質を約束するのは当たり前ですが、やはり人間対人間なのですから、どちらが「お互い気持ちよく工事を進めることができるか」は、言うまでもありません。

 

 

さて、前述の「自分では片付けしてくださらない」お客様ですが、工事の人間が手伝いに行っても、年配の方でもなく、非力な方でもなく、「本当に」見てるだけの方もいます。

 

養生シートはもちろんのこと、鉢やプランターに育成する長い丈の植栽を引きずらないように家の中を運ばせる、植栽が当たりそうな場所を養生させる、作業員の体が当たりそうな箇所をも養生させる、移動させればスムーズに作業できるものを移動することも拒まれる・・・ 作業員も人間なので、少なからず気分を悪くします。

 

玄関に立って「それでは失礼します」と言って、返ってくる言葉が「またなんかあったら呼ぶから」。

 

「おれ、いつからここの人の召使いになったんでしょうか」。
一緒に手伝ってくれた作業員の方の言葉は、みごとに私の心の中を代弁してくれました。

 

 

若し、自分の家族や自分が同様の扱いをされたらどんな思いになるでしょう。 巡り巡って自分が接客や請負人、作業員がお客さんという立場になったらどうなるか、ということも考えてくださり、最終的に「この大規模修繕工事をやってよかった」という同じ思いを共有するために、お互いを尊重し合って工事を進めていきませんか?


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