コンクリート内の異物は「ノータッチ」でいいのか?
劣化調査・診断を進めていくと、「これは新築当初からある」 という不具合を確認します。
一番多いものは、「Pコンの跡(セパの跡とも言われます)」です。
新築の時、コンクリートを打設する際に型枠を組むのですが、その型枠を、セパレーターと言われる金属の棒と、Pコンと言われるプラスチック製の部材(金物の場合もある)で固定します。
固まったコンクリートから型枠を取り外した際、丸いPコンの跡だけが残ります。
これをモルタルで埋めるのですが、経年の影響と、内部のセパレーターが腐食したことによる影響で、モルタルは浮いていたり、剥落していたりします。
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Pコンの跡。内部でセパレーター(金属の棒)の腐食が起こっている。
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Pコンの跡。埋められていたモルタルがきれいに取れている。
中央にみえる茶色のものは、コンクリート内部に埋め込まれたセパレーターが錆びているところ。
又、よく見る事があるのは、「ピンホール」です。
タイル面の目地セメントや、吹付け塗装面で見かけます。
小さな穴ですが、そこから雨水が入っていく事も考えられます。
「こんな小さな穴、仕上げ材を塗ったら簡単に塞がるよ」 と思いきや、結構難しいのです。
塗装直後は、埋まっているのですが、時間が経てば、再発して手直しになる可能性が高いです。
ここは手間ですが、補修工事の際に埋めてしまうのも手です。びっくりするほどの量はないと思います。
そして稀にあるのが、「木片が埋まっている」 ことです。
新築のコンクリート打設の際に、スペーサーとして使用したのか、はたまた唯入ってしまっただけなのか。
新築時の施工会社を擁護する訳ではないですが、材料の中ではコンクリート同様、木材も強いようです。
ただ、鉄筋で補強出来る事、火気に強い事がコンクリートの強みです。
いずれにせよ、木片が混入しているだけで、深刻な強度上の問題はないと思われます。
周りのコンクリートをピックで斫り取って、これを除去する方が、強度的に問題になるかと思います。
出来れば木片は残して、きれいな仕上げが出来る様、心掛けます。
どうしても取らなければならない場合は、ポリマーセメントモルタル充填工法などで補修します。
そして、「ただ穴が空いている」場合もあります。
あまり深いものや、空洞が大きいと思われるものは、グラウト等を注入しなければならない事もありますが、浅い場合は欠損処理と同じ工法にて補修することになります。
これらの事例も、劣化同様に適切な処理を施す事により、躯体や仕上げの問題を解決していきます。
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階段巾木にできた空洞。打継ぎにできたジャンカと思われる。