タイルの役物(曲がり)で注意する点は?
タイル面の既存の仕上がりを見た時、外壁の角(面と面の境界部分)はどのようなタイルでしょうか。
①丸みを帯びた役物を使用している
②平(ひら)のタイルを加工して貼り合せたものを
使用している
③平のタイルをそのまま使用している
おそらく、この3パターンだと思われます。
①の役物とは、角を丸めに納めるために、専用に焼かれたタイルです。
役物には、短辺を直角にして焼かれている「曲がり(標準曲がり)」と、長辺を直角にして焼かれている「まぐさ (まぐさ曲がり)」があります。
②のタイルは、役物を製作せず、平のタイルの角を角度を付けて削り、それらを接着加工したものです。
単純に直角にする場合が一般ですが、それ以外の角度の場合も対応できます。
③は、角部を目地セメントで仕上げていたり、角までタイルを持ってきている場合があります。
角までタイルを持ってきている場合は、タイルの裏足が見えていることがあります。
タイルの張り替えの際、既存と同じ納まりにしなければ意匠性が下がってしまうので、角も同じものを揃えた方が良いです。
平を加工して製作する場合や、平をそのまま使用する場合は何ら問題はありません。
しかし、既存が役物を使用している時、類似のタイルがない場合や、あっても役物の在庫がない場合は、役物も製作する必要があります。
役物を新規で焼く場合、注意する点があります。
それは、金額がかさむ事、それと役物と平タイルは色の加減が異なる事です。
通常は価格の面を考慮し、平を焼いた後にそれらを加工しますが、既存の役物に合わせて役物を新規で焼こうという時があります。
その場合、別加工なので価格が上がることは理解されやすいのですが、なぜ色が? と思われるかも知れません。
磁器質タイル等の、艶を出すタイルを新規で焼く時は、窯に入れる前に「釉薬(うわぐすり)」という薬品を吹きかけるのですが、平とは異なり、役物は曲がっているので釉薬のかかり具合が違う為、均等にかからない事があります。
そのため、平と比較して若干の違いが生まれます。
それらを加味して、新規のタイルを焼いて頂きたいと思います。
只、工程の都合等により、役物を新規で焼く事が困難な場合があります。
その場合は、平のタイルを加工して役物を作成するしかありません。
なによりも、事前に管理組合の承諾を得る必要があります。工事の前後でタイルの形が変わるのですから。
出来上がったマンションにこれからも住まわれるのは、居住者の皆様です。
そのことを前提に、何事も決めていかなければなりません。