その「タイルの浮き補修」、大丈夫ですか?
タイル面の浮きの 補修は、メーカー各社、又は各事業団体から様々な工法が出ていますが、ここでは主に「アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法」と、「タイル張替」の2種類の概略を説明します。
<アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法>
主にコンクリートと、タイルが張られているモルタルの間の剥離が生じている場合に行います。
詳しい材料・使用量等の説明は、各メーカーの施工要領書にして頂くとします。
大まかな施工手順は、
① 調査・マーキング
② 削孔(目地セメント部)・清掃
③ エポキシ樹脂注入
④ ステンレスピン挿入・余分なエポキシ樹脂の除去
⑤ セメントにて目地埋め
⑥ 確認 です。
この工法をタイル陶片が浮いている場合に用いると、タイルがエポキシ樹脂で膨れて、逆に剥落の危険性が出てきます。
又、エポキシ樹脂を注入した後に挿入するステンレスピンは、コンクリート層と、ある程度の厚みを持った層を繋げる役目を果たしますが、タイル陶片のみだとピンへの掛かりが小さいので、あまり効果がありません。
タイル陶片の浮きでも「全てアンカーピンニング工法で行う」などと記している事がありますが、タイルの陶片浮きは、基本的に「張り替え」のほうが安全面を考えた際に無難と思われます。
しっかりした補修を行う仕様書になっているか、事前に確認しましょう。
タイル陶片浮きの場合でも、小面積の浮き・剥落が起こっても災害に繋がらない箇所の場合は、注入工法を採用する事があるようですが、安全性や予算と相談し、仕様を選定して下さい。
繰り返しますが、基本は「張り替え」という事を考えたほうがいいです。
<タイル張替>
タイル陶片が、下地から浮いている場合に行います。
大まかな施工手順は、
① 調査・マーキング
② タイル目地へのカッター入れ
③ 脆弱部タイルの斫り取り
④ 下地コンクリート等に劣化・脆弱部を確認した場合、適宜補修
⑤ 下地コンクリート表面がツルツルの場合、超高圧水等による目粗らしなど
⑥ 清掃
⑦ アルカリ付与剤塗布
⑧ タイル張り付けモルタル塗布
⑨ タイル張り付け
⑩ 目地セメント充填・表面清掃
⑪ 希塩酸等によるタイル面洗い
⑫ 確認 です。
タイル張替の際、留意しなければならない点は多々ありますが、特に気を付けなければならないのが、「躯体コンクリートの状態(工程の④、⑤)」です。
躯体コンクリート自体にジャンカやコールドジョイントや、ひび割れや爆裂がある場合、それらを適切に補修した後に、タイルの張付けを行います。
この下地処理を怠ると、再発の危険性が高くなります。
又、下地コンクリートの表面がツルツルの場合は、それが原因で剥離した可能性が高いので、同じ過ちを犯さない事です。
新築時、コンクリートの型枠にパネコートを使用した場合、タイルを張り付ける際は張り付けモルタルの食い付きを良くする為に、目粗しを行わなければなりません。
その工程を踏まずにタイルを張り付けると、躯体コンクリートと張り付けモルタルは肌分れを起こします。
よって修繕時は、必ず高圧水による目粗しを行うか、樹脂モルタルで調整する等、適切な処置を行いましょう。
あとで「違いすぎる」ということにならないために
→ 「張替タイルを上手に探す方法」
「曲がったタイル」も仕上げの良し悪しに繋がります
→ 「タイルの曲がりで注意する点は?」