「残念な」 タイル面補修の仕上げ
タイル面の補修が行われたと思われる面を見て、「なんだこれ」 と思うことがあります。
タイルの張り替え工事が済んだ面を確認すると、目地セメントの色が全く異なる事があります。
灰色と濃灰を区別せずか、区別しても場所によって色が違うのか。
いずれにせよ、張り替えることによって、「補修後に見た目がすごく悪くなった」 と、居住者から言われる様な出来です。
類似のタイルであれ、新規に焼いたタイルであれ、タイル自体が既存とバッチリ合っていても、目地セメントが違うだけで、非常に残念な仕上げ になってしまいます。
ただ間を埋めればいいなんてものではありません。
これを解決するには、着工前や着工して間もない頃に、目立たないところで試験施工してみることです。
方法は、タイル目地を少量ずつサンダーで切って、そこに候補と思われる色の目地セメントで埋め、数日経ったあとで確認します。
こうすれば、補修工事前に「どの目地セメントを使えばいいのか」の正解がわかるという訳です。
目地セメントの色が同じでも、既存の目地と新規の目地が段違いになっている場合もあります。
これは近くで見るとかなり目立ちます。
日頃から「自分が住むところだったら」という気持ちを前提にして、綺麗に施工する技術が必要です。
又、稀に補修工事が終わったマンションなのに、タイルの目地セメントが欠けている、又は割れている所があります。タイルの割れ同様、立派な補修箇所だという認識を持って頂きたいです。
補修の仕様に入っていない劣化についても、調査の時点で把握し、追加の施工として提案する必要があります。
ピンニングによるエポキシ樹脂注入工法でも、残念な仕上がりがあります。
目地モルタルを削孔して施工を行っているのですが、孔の埋め戻しを行っておらず、エポキシ樹脂とステンレスピンが見えている状態です。
これも遠目では分かり難いですが、近づくとよく分かります。
又、モルタルにて埋められている時も、張り替え時同様、色が異なったり、段違いの場合があります。
タイル補修のおかしな納まりの中で、ひと際憤りを感じるのが、エポキシ樹脂をタイル面や下部の窓庇にこぼしてそのままにしている場合です。
<写真>
タイル面目地モルタルへのエポキシ樹脂注入工法の跡。目地モルタルの色も極端に違い、エポキシ樹脂が漏れてそのままになっている。
エポキシ樹脂は、硬化してしまえば撤去が非常に困難なので、付いてしまったら、出来るだけ素早く溶剤系の薬品等で拭き取ります(メーカーに問い合わせて、最適な方法を聞くことが重要です)。
工期がない場合は、職人さんも焦って作業している事もあるでしょう。
しかし、工事後に壁を汚してしまっては元も子もありません。
こぼさない様注意し、こぼれたら早急に拭き取り、硬化させないことです。
「漏水しなきゃいいんだろ?」 「壁が落ちなきゃいいんだろ?」 ではありません。
長年に亘り積み立てた修繕費から、多額の工事費を支払って施工者に工事を委託しているのです。
施工者である我々は、管理組合の皆様の財産であり、これからも住み続けるマンションの「資産価値」を、
維持・向上させる一翼を担っている事を忘れずに、工事に取り組んでいきたいものです。