大規模修繕工事を成功させる「Uカットシーリングで気を付けること」

Uカットシーリング工法で気を付けることとは?

Uカットシーリング工法で気を付けることとは?

 

大きめのひび割れ補修に、Uカットシーリング材充填工法という補修工法があります。

 

コンクリートの継ぎ目や、窓や玄関などの開口部の角に走るひび割れなどに適用します。

 

どの程度のひび割れに適用するかは施工業者によってまちまちですが、巾が0.3mm以上の比較的大きなひび割れに採用する事が多いです。 

 

コンプレッサーや注入機材を用いないので、多くの施工業者が採用します。

 

 

大まかな工程は、

 

①調査・マーキングを行う
②工具(ベビーサンダー)によってU字に溝を作る
③清掃する
シーリング材専用のプライマーを塗布する
⑤シーリング材と充填し、均す
⑥余った溝の空間に、ポリマーセメントモルタルを充填し、平らに均す

 

 という具合です。

 

どの補修方法もそうですが、一つ一つの工程を適切にしないと完工後に再発する事があります。

 

②の溝を作る際も、時間がもったいないなどの理由で深さを考えずに浅ーく掘っていると、シーリング材と樹脂モルタルの両方が適量使用されず、施工不良になる可能性が高いです。

 

ひどい場合は、シーリング材しか使わずに、補修部分が痩せて凹んでしまい、みじめな状態になります。

 

逆にシーリング材を使用せずに、浅く掘った溝に樹脂モルタルのみで施工していることもあります。後に割れて、肌分れを起こして溝だけがあらわになり、「劣化を進行させるために溝を掘った」残念な状態になります。

 

 

③の清掃と ④のプライマー塗布も、確実に行われないと材料の剥離が発生します。

 

Uカットシーリング材充填工法で、補修後の不具合が多いものに、前述したようにシーリング材だけで施工してしまう例があります。 この時の不具合には、補修跡が凹むことの他に、補修部分が黒っぽく変色することがあります。これはシーリング材の 「ブリージング」 という現象で、シーリング材の成分である可塑剤(柔らかさを出すための成分)などが分離して、表面に出てきたための変色です。

 

塗装をうえに塗る場合、シーリング材には 「ポリウレタン系」、「変成シリコン系」 の2種類が主に適用されますが、ブリージングを抑制する 「ノンブリードタイプ」 を使用します。 そこにそうでないシーリング材を使用すると、後々ミミズが這ったように黒い線が出てきます。

 

仕上げに樹脂モルタルを使用した場合でも、溝が浅い、シーリング材が深い等の理由で、樹脂モルタルが極端に薄く施工された場合も、ブリージングの発生がみられます。

 

 

補修後の建物を毎日見るのは居住者の皆様です。

 

適切に補修がなされたかと同じ様に、補修後の見た目は大事な事です。

 

どうしてそのような工程なのか、どうしてその材料を使用するのか。 

 

説明を求められてもきちんと説明できる様、適切な補修の経験を積んでいきたいものです。

 

 

 


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