大規模修繕工事を成功させる「張替タイルの探し方」

張り替えタイルを「じょうずに」探す方法

張り替えタイルを「じょうずに」探す方法

 

タイル面に起こった ひび割れ浮き という劣化補修には、新しいタイルが必要です。

 

現在張られているタイルと同じタイルを見つけなければなりませんが、この 「タイルを見付ける」 という作業は、早ければ早いほど、工事をスムーズに行う事が出来ます。

 

ここで、大規模修繕工事を行うという事は、新築からかなりの年数が経っている事でしょう。

 

おそらく、同じタイルを見付ける事は難しいと思われます。

 

補修枚数が少なく、新築当初の材料をストックしておく倉庫があって、そこにある程度の量が保管されていればいいのですが、大規模修繕に事足りる枚数を確保するマンションやデベロッパーは少ないでしょう。

 

というわけで、類似のタイルを探します。建材屋さんに現地を見てもらって、類似のタイルを探して頂くか、サンプルを渡して探して頂きます。

 

「これかな?」と感じるタイルを、数種類選び、1才ずつ(1シート:45二丁掛けタイルだと300㎜×300㎜の18枚)手配します。それをマンションのタイル面に合わせて見ます。合わせる前は、タイル面を清掃するとあわせやすいです(※1)。

 

明るい箇所、暗い箇所、色々な箇所で数人で確認し、候補を決めます。近くで見るのみでなく、数階上に行き、別の人が下から見て確認します。

 

しかし類似のタイルは、色が薄い、濃い、表面の凹凸が異なる、微妙な斑点の有無等、若干の差があり、この作業で類似のタイルが見付からない場合が多くあります。

 

又、運よく見付かっても在庫が存在しない場合もあります。

 

その場合は、「新しく焼く」 という選択肢を選びます。金額は多少上がりますので、考慮に入れて下さい。

 

タイルのメーカーは沢山存在し、今は多くのメーカーが、「既存に合ったタイルを少ない数量でも焼く」 という事業を行っています。

 

タイルメーカーは、岐阜県の多治見市に多くありますが、他の都道府県でもタイルの生産・販売は行っております。

 

又、生産量の多い岐阜県からも、各地に支店や営業所、アドバイザーを設置している場合もありますので、インターネット等で探してみて下さい。 

 

 

こうしてメーカーの方は現地マンションへ来て、施工者や監理者と打ち合わせの上、既存タイル陶片(既存の余りがなければ、目立たない箇所を斫りとって)を持って帰り、「試し焼き」 をします。

 

数日後に試し焼きによるサンプルが出来上がり、現地で確認し、良ければ正式な数量を発注します。

 

違和感があれば、再度試し焼きの作業に戻るのですが、この作業が長引けば、工事の進捗に影響する事も十分考えられます。

 

 

 

タイルの色合わせ。出来れば光の当たり具合を見ながら数ヶ所で確認したい。

<写真>
タイルの色合わせ状況。遠くから見るほど分かりやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前述しましたが、タイルの選定(類似タイルを探す事から)は、早い段階で始めて下さい。

 

類似タイルを探すにしても、運よくあっても、在庫が存在しないかも知れませんし、早期に押えないと数週間経った後には、「もうない」なんて言われ兼ねません。

 

新規のタイルを焼くにしても、「試し焼き」、「発注しての本焼き」共に、かなりの時間が掛かります。

 

又、張り替えの数量が多い場合、窯(かま)の大きさにより、数回に分けて焼かなければならない事もあります。

 

後、追加の発注は割高になる事がありますので、少し多めの量を推測して発注するといいと思われます。

 

 

補足ですが、タイルを新規で焼くと、バッチリ既存と同じ色になると思われる居住者の方がおられますが、バッチリとはいきません。

 

類似色タイルと比較すると良いですが、若干違いはあります。

 

若し、建物の北面で色がバッチリあったとして、経年で日に当たっている南面では若干違うという事もあります。

 

施工者は、事前にこの事を管理組合の方々に伝えなければいけません。

 

 

タイルの選定のみならず、様々な選定によりマンション自体の資産価値も変わってきます。

 

施工者は、これから住まわれ続ける居住者の気持ちになり、より良い選定を行い、資産価値の維持・向上を目指しましょう。

 

 

 

(※1)  :  改修工事の際、仕様が普通に洗浄するのみだと水拭きで、薬液洗浄する場合は薬液で清掃します。薬液洗浄の際は、ラスタータイル(シャボン玉の様にてかてかしたタイル)等、気を使わなければならないタイルもありますので、目立たないところでの確認が必要です。

 

 

 


ホーム RSS購読 サイトマップ
HOME