大規模修繕工事を成功させる「想定力」

行きはよいよい帰りは・・・?(積荷を降ろした車はどうなる?)

行きはよいよい帰りは・・・?(積荷を降ろした車はどうなる?)

 

あなたは1階ピロティ内を、2tトラックにて荷物を載せて通ります。

 

荷台には、多少重量があるものが載っております。

 

ピロティの梁の高さは2.1m程度で、通行前に車高を測ったらギリギリセーフです。

 

 

奥の駐車場に積荷を下ろし、さあ帰ろうとピロティを通る直前、「おーーい!!」と、傍で見ていた職人さんから大声で止められました。

 

何事かと思い、車外に出て見てみると、もう少しで、ピロティの梁に車がぶつかるところでした。

 

「さっきは通ったのに、なぜ・・・?」 という話を、レンタカーの会社の方から聞いたことがあります。

 

経験のある方もおられるのではないでしょうか。

 

積荷を下ろした後は車高が元に戻るという事を。

 

 

たった数センチですが、積荷があるだけで車高が縮みます。

 

その数センチで、梁に当たってしまうか否かの時が多々あります。

 

その証拠に、皆さんもいくつかマンションのピロティ上部の梁を見てみて下さい。

 

線状のキズが付いている場合が多いですから。

 

 

修繕工事で入るマンションで、自分がキズを作ってしまっては立つ瀬がありません。

 

車が通る所だから、設計時にもっと梁の位置を高くしておけばいいじゃないの?と思うのですが、色々制約もあるでしょう。

 

資材を運搬する際は、積荷を載せている時の車高より、通常の車高を参考に計画をするべきです。

 

 

梁の高さと車高だけの問題ではなく、「搬入時はきれいだった材料の、廃材・ゴミの搬出経路の事」、「養生時にしっかり粘着したテープの、撤去時の糊残りの問題」なども考えられます。

 

大規模修繕工事を行う際は、塗装防水シーリングなどの仕上げに使用する材料は、ほぼ全てを新規に購入して現場に搬入します。

 

それらを現場内で縦持ち・横持ちする際は、使用前なので液だれなどの心配はありません。

 

しかし実際に使用し、廃材として現場から搬出するときの空缶や使用済みのカートリッジは、当然少量の中身が残っております。

 

それらをしっかり管理しないと、養生を施していない床面を汚染する恐れがあります。

 

これから改修工事を行う予定である場所ですと何とかなるのですが、改修の予定がない箇所、又は既に改修工事がなされている箇所などの場合は目も当てられません。

 

マンション内での廃材の搬出経路を事前に計画し、養生を徹底する、液体が滴(したた)る空缶は、養生シートを広げた場所で乾燥させ、汚染の元をなくす等の処置をすべきです。

 

 

現場を汚さないように、様々な場所に養生テープを使用します。

 

しかしこの養生テープの使い方を誤ると、逆に養生した場所を汚染することもあるので注意が必要です。

 

巾広の紙テープを使用することはないと思いますが、間違って使ってしまうと大変なことになります。

 

ガムテープもたまに使用されていますが、強力すぎて仕上げ材(塗装や防水層)の剥離を引き起こす恐れがありますので注意が必要です。

 

広く使用されている、養生テープやマスキングテープは、粘着力がほどほどで、使用後の撤去も容易に出来ます。

 

それでも、気を付けないと糊が残ってしまうことがありますので、使用前に確認する必要があります。

 

日光が当たる場所、高温になる場所などに使用する場合、比較的テープの糊が残りやすい傾向にあります。

 

そして糊が残る一番の傾向は、長時間貼っている場合です。

 

エレベーター内、エントランスホール、アルミ手摺など、工事期間中剥がすことがない場所などは、工事の途中で貼りなおす、撤去する際は慎重に行うなどの配慮が必要です。

 

最悪、糊が残ってしまった場合は、その場所に合わせたリムーバー(溶剤など)を適切に使用し、除去します。

 

 

このように、工事中は後先考えないで進めていくと、面倒なことになる場面が多々あります。

 

後で起こるであろう問題の小さな種を、事前に確認して摘んでいきましょう。


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