どうして御社が大規模修繕を?(異業種の受注)
大規模修繕を計画する際、マンション管理組合が望むことは、「いい工事を安い金額で発注すること」です。
ゼネコンにしろ専門業者にしろ、数々の大規模修繕工事を納めてきているので、様々なノウハウや、金額を抑えるための方法を生み出しています。
それは長年、会社が真摯に取り組んできた結果であり、会社の財産です。
そういう会社のほとんどは、自分たちの会社の利益もさることながら、マンション側である管理組合の方々のことも考え、「いい工事を安く行うこと」を考えます。
大規模修繕の入札に参加し、他業者が揃っての現場説明会などでは、いつしか顔見知りの業者の方が増えてきます。
自分と違う会社の営業さん、又は調査の人。
もちろん、自分たちが大規模修繕を受注しなければならないのですから、その人たちは「敵」です。
かといって同じ敵でも、いがみ合い、攻撃する「エネミー」なんかではなく、同じゴールに向かい、切磋琢磨する「ライバル」です。
自分が受注出来なかったときは悔しいですし、会社にも申し訳がありません。
ですが、それを受注した業者の担当者の頑張りも分かりますし、色々な場所で顔見知りになり、意見交換、情報交換も行っているので、応援する気持ちも「少し」はあります(ホントです)。
しかし、まれに畑違いの業者が参加していることもあります。
そしてそういう業者に限って、他の入札者を抑えて受注するケースもあります。
なぜそんなことが起こるのか…?
畑違いの業種の代表格が商社です。
「えっ? 大規模修繕も商品として取り扱ってるの?」
そうなんです。扱ってるんです。
商社といっても、取り扱っている商品によって様々です。
あまり詳しく書くと分かりやすいので、それは伏せます。
商社がどうやって大規模修繕の入札に参加できるのかというと、いくつかパターンがありますが、主な道は「管理会社との関係」と「居住者の紹介」です。
先ず、管理会社との関係を考えると、マンション管理では様々な資材、商品を使用します。
その流れで、管理会社と商社が関係性を深め、協力して大規模修繕を受注するケース、そして管理会社の系列会社がその商社と関連性があるケースがあります。
次に居住者の紹介というのは、居住者自体がその商社の関係者、若しくは仕事柄、その商社と懇意にしている場合に起こります。
一般的な考えでは、工事業者よりもそのような畑違いの業者の方が、金額が高くなるものです。
「で、なんで受注できるの?」 なんででしょう。
ここで肝心なのが、「マンションの中で、誰が力を持っているか」 です。
居住者の紹介の場合は、その居住者がマンション内で幅を利かせている場合がおおいです。
長年、理事や理事長をしている、世話役をしているなど、マンション内での影響力が強い人が、そういう流れを作ります。
「私もよく知っているので、下手な工事はしない」
「商社なので、材料を安く出来、結果的に工事費が安くなる」
などとマンションの人たちを納得させ、いや説得し、なんとか受注させようとします。
競争入札になったところで、管理会社を丸め込み、他の理事をも味方につけ、優位に立たせようとします。
ひどい例では、入札日までに他の業者が郵送、若しくは指定の郵便受けに見積書を入れたあとに、全ての見積り金額を見た後で、見積りを作らせるということもあります。
入札後のプレゼンも、味方に付けた理事しか参加しなかったり、力のある人が誘導的に流れを作り、商社に仕事を受注させようとします(この流れは、商社に関わらず、多くの入札で行われているのが現実です)。
実際に畑違いの商社、その他の業種が受注すると誰が工事をするのでしょう。
それは、ゼネコンであったり、専門業者であったり、施工業者が行います。
「結局、工事のことを分っている業者が施工するのだから、いいじゃない」
全然よくありません。
受注した会社が大規模修繕を受注する自体もおかしいですが、そこから工事を請ける会社のことを、マンションの人たちは知らないわけです。
分かりやすく言えば、「どこの馬の骨だか知れぬ会社に工事を頼む」のです。
しっかりした専門業者かもしれません。とんでもない会社かもしれません。
「私たちが工事後もしっかりサポートいたしますっ!!」と、商社が工事保証書を出したところで、工事を行う業者が対応するかも疑問です。
しかもその商社に、大規模修繕工事を管理するだけの技術をもった人材がいるのでしょうか。
なかにはそういう人を抱えている会社もあるかもしれません。
建設業許可は持っているでしょうから、法律上は問題ありません。特定建設業ですと、金額のハードルも気にせずに受注出来ます。
しかし、おそらく施工業者に「丸投げ」です。
お金に関しては、少なくとも受注金額の10%は取るでしょう。 1億の工事ですと、1千万です。
管理組合の人達が一生懸命貯めた大事なお金を、です。
大規模修繕のノウハウも分からない会社が1千万、どこの馬の骨だか知れぬ会社に9千万です。
大きな声では言えませんが、ここでさらに胸糞が悪くなる話があります。
この1千万か9千万の中から、いくらかが紹介者や、場合によってはその他の理事のフトコロに入ることがあるということです。
それはそうでしょう。 工事業者でもない会社を、なんのリベートもなしに一生懸命紹介するようなボランティアはしません。
得をするのは主導で動いた人達、損をするのは他の管理組合の人達、です。
次に管理組合が主導で動く場合です。
この流れも、居住者の紹介のときとあまり変わりません。
マンション管理に無頓着な管理組合や、一部の理事が管理会社と密につながっている場合が多いです。
お金に関しては、やはり受注業者、管理組合(+α)が余計なお金を取ります。
このように、受注金額の何割かが、全く工事には使用されないで、不当な利益として搾取される現状があります。
当然、商社や管理会社は利益を追求しなければならない企業ですから、人が動く以上、諸経費、売上等、お金を取らなければなりません。
しかし、しっかりした施工業者が管理組合から直接仕事を受注することによって、そういった無駄な手間、お金を使わずに、いい工事が出来ることは、誰の目から見ても明らかです。
前述しましたが、長年施工実績を積み重ね、様々なノウハウを生み出し、金額を抑える工法を知っている施工業者は、探せば沢山あります。
管理組合の皆様、どうか大規模修繕のこと、そしてそれに参加しようとする業者のことに理解を深め、自分たちの財産を一円でも有効に使って頂けるようして下さい。
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