色々な事を想像してみる(工事中の諸問題を想像する力)
「まあ、大丈夫だろう」 と、高を括る事は誰しもあると思います。
しかし、こと工事に関しては、「まあ、大丈夫だろう」 は無くしたいものです。
例えば、仮設物搬入や足場材荷揚げ等の際、クレーン車がマンション敷地内に入ってきます。
調査段階で、「敷地内車道は広いけど、あそこの角を曲がる時は車幅を考えていっぱいいっぱいだな。あそこはたまに路上駐車しているのをみるな。でも停まっていることは稀だから、当日も問題ないだろう」と高を括る。
車両搬入当日、そういう時に限って駐車している車がある。
「あぁどうしよう、クレーンが入らない。どこの誰だか分からない。とりあえず理事長さんに聞いてみよう。
すみませーん。あの車どなたの車か御存知ですか? あ、そうですか。 どうするかな・・ 一時的な駐車かもしれないから持ち主が来るまで待つか。」
クレーン車は角を曲がれず、ずっと停車したまま。
クレーンのオペレーターはイライラしている。
作業員はやる事がなくなり手待ち(待機状態)になり、やっぱりイライラ。
そして昼前になって、やっと車の持ち主が現れて車に乗り込む。
そこにちょっぴりイラついた現場代理人がきて、「すみませーん。ここに車停めないで下さいませんか。大きな車が入れないもので・・・」。
運転手からは、「そんな事書かれてないから分からないよ。俺が悪い様な言い方するなよ。なにイライラしてんのさお前!」
・・・こうなったらもう仕事どころではありません。
その日の作業が進まないのはもちろんのこと、作業員は現場代理人に不信感を持ち、まともな対応をしなくなる。
さらに悪いことに、この代理人の対応に運転手も不満を募らせ、マンションの他の居住者間に広がり、画してマンション全体へ工事に対する不信感が広まってゆく・・・。
工事がストップしないまでも、この出来事がきっかけで、ぎすぎすした工事が進んでゆき、居住者との意思疎通もままならず、当然工事の質も悪くなる。
極端な例ですが、あり得ない話ではありません。
何がいけなかったのでしょうか。
路上駐車した運転手のせいでしょうか。
現場代理人の段取り不足が原因です。
この場合、事前にしなければならない事は、
●指定の場所に駐停車をされない様に、図と文章での「お願い」を掲示にて告知。
●当該箇所に見やすいお知らせを貼り、前日にはカラーコーンやバーにて駐車されない様にする。
●さらに言えば、現場代理人の経験値のみに頼らず、クレーン車等の重機のオペレーターにも現場をみてもらい、想定する問題点を洗い出す。
等です。
自分以外の人間と打合せ、想定する事で、見えてくる事は沢山あります。
●マンション敷地に入ってくるまでの交通はどうだろう。入り口で立ち往生しないだろうか。
●電線は大丈夫だろうか。
●アウトリガーを出す場所の地盤は大丈夫か。
●当日の駐車場の車の一時移動はこの台数でいいだろうか。 等々・・
重機の搬入のみならず、色々な場面で問題を想定し、事前に対策を練っていく。
その繰り返しが工事を円滑に進め、作業員や居住者、近隣の方々からの信頼を得て、みんなが笑顔になる工事を納める力になるはずです。
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