大規模修繕工事を成功させる「敷地内駐車場の車移動」

マンション内駐車スペースを借りたのならば

敷地内駐車場の車を移動したならば

 

マンションでの大規模修繕工事の際、居住者専用の駐車場を借り上げることがあります。

 

これは作業足場や事務所・詰所などの仮設設備のために行う場合もあれば、作業車両の駐停車のため、若しくは材料飛散から前もって居住者のお車を守るという意味もあります。

 

中には、ピロティ内に停めてある車で、建物の外にはみ出して駐車している場合に、「足場を門型にして上をコンパネやシートで養生して、ちり一つ落ちてこないようにしてください」なんて注文を付けてくる居住者の方々もおられます。

 

また、「外部まで歩くのは嫌だから、できる限り車を移動しない方法を考えて下さい」という注文も来ます。

 

施工業者としても、なんとか管理組合に寄り添って、同じ考え、同じ方向を向いて工事の段取りを進めていきたいですが、限度があります。

 

どんなに材料が落ちないように養生しても、どんなに気を付けて作業しても、小さなゴミは必ず舞います。そういう作業が出る度にカーシートを引っ張り出して、車に掛けていかなければなりません。

 

飛散防止のためにカーシートをかけることは当然やるべきことですが、出来れば足場の真下や真横などのお車は、外部の駐車場に移動して頂ければ助かります。

 

 

さて、作業足場・仮設事務所・資材置き場などの仮設物や、材料飛散等を加味し、移動予定の車両を決めます。

 

その際、「夜は作業がないので、空いている駐車場の持ち主の方はお車を停められても構いません」などとは、施工者の口から言わない方が得策です。

 

その日の工事が終わって、作業員が帰った後で、居住者の車が停まります。そこに足場上のゴミや前述の記事の様な地上のチリなどが車のボディに付きます。すると「車が汚れた」という苦情がくる訳です。

 

掃除をしてても工事現場はなにかと汚れているものです。出来れば一度離れた車は、よほどのことがない限り、または荷物の積み下ろしなどの場合以外は、仮設の外部駐車場に停めて頂いた方がいいです。

 

施工者は「工事期間中は、ご移動頂いたお車は、事故や汚染防止のために駐車されないほうがいいです。若し停められた場合に何か起こっても、弊社としては責任は持てません」と、しっかり伝えるべきです。

 

中には、工事時間が朝の8時から夕方の5時までだとすると、朝の8時過ぎまで車を停めている方や、5時を過ぎて作業車が駐車場にあると、「5時過ぎたんですけど、車を停めたいので移動してもらえないでしょうか」と言ってくる方もおられます。

 

駐車場移動についての線引きを曖昧にしていると、そういうことを言われる居住者の方も出てきます。

 

きちんと説明会や紙面をもって、仮設の駐車場に停めて頂くよう伝えましょう。

 

元々自分の駐車区画だから停めさせてよ、と言われる居住者の方に停めて欲しくない理由がもう一つあります。

 

それは、そこの駐車区画は空いているのですが、足場が設置されたり、仮設事務所を置かれたりして完全に塞がれている駐車区画の持ち主の方がおられるからです。

 

「なんで私が停められないのに、あの人は空いてるからといって停めるの?」と必ず思います。本人同士で言い合いになることはそうないですが、施工者の耳にはそういう声が届くのです。

 

自分以外の人の気持ちを皆が分かろうとすると、そういうことがなくなります。

 

そして、そのような事例が起こる前に、施工者は居住者の方々に周知徹底すべきです。

 

 

敷地を借りる施工者も、我が物顔で駐車場を使用することがあります。

 

駐車場の一角を、材料の練り場(モルタルを練ったり、塗料や防水材を撹拌(=混ぜること)したりする場所)にする場合、十分な養生シートを敷き詰めないで汚している風景を沢山目の当たりにします。

 

また、練り場の養生シートの上にこぼれた塗料などを踏みしだき、その足で敷地内をうろうろするものだから、そこかしこに足跡が付きます。

 

それら全てを防ぐ事は困難です。

 

しかし心掛け次第でかなりの割合の汚染を防げます。

 

職人さんが頻繁に移動する通路を長尺のブルーシートなどで養生するなど簡単なことです。破れない限り、毎日新しいものを使う必要はないと思います。

 

どうすれば汚れないようにするか――― そう考えて行動することに意味があります。

 

居住者の方々は、そういう気配りを見てくれます。

 

 

工事が終われば「はい、さようなら」ではありません。

 

何年経っても<あの業者はよかったね>と、心に残る仕事をしていきたいものです。

 

 

 


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