材料メーカー連名保証ってホントに必要?
大規模修繕工事などを行った際は、施工後1年から10年の期間(会社によって解釈は異なります)で、「工事保証書」を施主に提出します。
この工事保証書、管理組合から「直」で工事を請け負った場合は、「施工業者単独」での保証が多いです。
しかしながら、設計監理が入っている工事の場合は、「材料メーカーとの連名保証」というものが多くなります。
これはどういうものなのでしょうか――。
●メーカー連名保証は必要か?
施工業者は、屋上防水工事、躯体や仕上げ面補修工事、新規塗装工事などを行い、それに対しての「施工保証」をします。
これは、「私はしっかりした工事をしました。しかし、工事が原因でのマンションへの不具合の発生、または工事箇所の不具合が発生した場合は、提示した保証期限内であればそれを保証し、無償にて対処致します」 というものです。
これに対して、材料メーカーの言葉は、「私はしっかりした材料を作りました。しかしこの材料が原因で、貴マンションへ不具合が発生した場合は、提示した保証期限内であればそれを保証し、無償にて材料を提供致します」 というものです。
施工業者の言葉は誰もが納得いくことでしょう。
対して材料メーカーの言葉はどうでしょうか・・?
結論からいえば、材料メーカーは施主である管理組合などには、保証の必要はないものと思われます。
「なにを言いだすんだこいつは」 とお叱りを受けるかも知れません。
これはこのサイトの持論であり、考え方を酌むのはあなた次第です。
●建築材料は、完成品ではない・・?
工事を行うのは誰かといいますと、当然施工業者です。その下に「下請け業者(専門工事業など)」の存在があれば、施工はその業者になります。
材料メーカーは、材料を提供するに過ぎません。
塗料や防水材などの建築材料は、生産段階でメーカーによる検査を受けます。
その試験に合格して世に出てくるわけですから、検査過程が不正の温床として破綻してない限り、性能に問題はありません。
工場で生産された材料。包装されたり、一斗缶(四角いシルバーの缶)に入れられたりして、完成品のように見えますが、本当に完成するのは、施工者によって現場で施工された後です。
なので、どんなに材料が高性能で良質でも、施工が悪ければ、現場自体が欠陥品になってしまいます。
よって、工事において保証すべき者は、やはり施工業者となります。
材料による不具合は、そう起こるものではありません。
●材料メーカーとの連名保証は施工者のため?
先に記述した材料メーカーの言葉を言い換えると、「私はしっかりした材料を作りました。それにも関わらず、施工業者の不手際で不具合が発生した場合は、材料を提供致します」となります。
これは施主のため、というより施工業者のため、といった意味合いが強いです。
施主への材料メーカーからの保証が必要ないと言ったのは、こういう理由があるからです。
ではなぜ多くの大規模修繕工事で、材料メーカーとの連名保証が行われるのか?
同じ保証書を出すならば、印鑑の数が多い方が信頼性が高くなりますし、大きな材料メーカーとの保証となれば、「箔(はく)」が付くからではないでしょうか。
施工業者としては、連名の有無に関わらず、誠実でしっかりした工事と保証で、施主を満足させていきたいものです。
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