マンション大規模修繕の必要性<改修②:仕上げ材>
前の記事では、設備に関する改修のことを記しました。
ここでは、建物の外観を決める「仕上げ材」について考えます。
機能性の向上(仕上げ材)
<塗料>
塗装面に関しては、新築時に塗られた塗装と比較して性能が優れたものが作られています。
新築時は、アクリル樹脂塗料が塗布されている事が多いです。
安価なのが利点ですが、耐用年数が短く、比較的早く劣化します。
塗替えをする場合は、今より性能がよく、長持ちする塗料を選ぶことが一般的です。
主な塗料は、性能が良い順に、フッ素樹脂、シリコン樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料があります。
各塗料の違いは、他の記事で改めて紹介します。
改修工事といえば、ウレタン樹脂塗料を使用することが多かったのですが、近年はシリコン樹脂塗料の需要が大きくなっているようです。
値段がそこまでウレタン樹脂と変わらないというのと、性能が上がってきているというのが理由と思われます。
2015年からは、一部のメーカーからシリコン樹脂の上級版が販売されました。
これからはそちらの需要も増えていくものと思われます。
フッ素樹脂は、性能や耐用年数は優れているのですが、高額なので建物の塗替えでは敬遠されています。
塗料のグレード以外の突出する性能として、最近は「遮熱」の効果がある塗料もあります。
これらは建物を外気や雨水から守るだけでなく、紫外線からも守ってくれる優れものです。
金額、耐用年数などを考え、最適と思われる塗料を選びます。
<タイル面>
既存のタイル面は、張り付けモルタルで張り付け、目地モルタルで目地を埋めます(小口タイルや二丁掛けタイルの場合は、目地を埋めない場合があります)。
年数が経つと、タイル間の目地モルタルから雨水が浸入する可能性が出てきます。
これに対応すべく、一部の防水メーカーから、タイル面に塗布する透明な防水材が出されています。
これらの材料は粘性が強く、タイル面に厚膜を形成することで、タイル面全体を外気や雨水から保護し、施工の仕様によっては、防水の保証も出ます。
<防水>
防水仕上げに関しては、防水層の種類によって耐用年数に違いがありますが、環境や新築時の施工などによってもおおきく変わってきます。
防水層を全面的にやり替えるとなると、今ある防水層を全部剥がして、同じ仕様の防水層をし直すのは、ちょっと勿体ないです。
一つは、全部剥ぎ取るとこは最善の選択かということです。
新築時の施工が本当によろしくなく、どこもかしこもボコボコに膨れている、もしくはいたる所から漏水が起こっている際は、撤去も選択肢に入るでしょう。
しかし近年は天候不順が多く、地方によってはゲリラ豪雨にも遭うなど、防水工事をしている際に、突発的な降雨に見舞われることも少なくありません。
そこで既存の防水層をあえて剥がさずに、上から新規の防水層を施工する「被せ工法」が一般的になっています。
その場合は既存の材料と同じものでもいいのですが、金額や旧防水層の状態、端末の納まりなどを考慮し、異なる材料の選定も行われています。
注意しなければいけないのが、旧防水層と新しい防水層の相性がどうかです。
こういう面でも、しっかりした知識を持った施工業者に工事をお願いするべきです。
又、屋上を雨からだけでなく、太陽の熱からも守るという「遮熱」効果もある防水材やトップコート材も出ています。それだけではなく、防水施工時に断熱材も一緒に施工するという工法もあります。
これにより、コンクリートの保護はもちろん、室内は冬はあったか、夏は涼しいという効果も期待できます。
ここまでは、機能性についてみてきました。
つぎの記事では、目につきやすいところへの「意匠性」について考えていきます。
続きをみる → マンション大規模修繕の必要性<改修③:意匠性の向上>