大規模修繕工事を成功させるコツ・進め方

マンションで50年後も幸せであるために

マンションで50年後も幸せであるために

 

新築当初、きらびやかなマンションを目にしたとき、永くその美しさは変わることはないと感じる事でしょう。

 

しかし年数を重ねるごとに、段々と当初の思いは薄れていきます。

 

ここでは、とあるマンションに暮らすT氏の様子を見てみます。

 

 

                                                                  

 

新婚当初は賃貸住宅にお住まいだったT氏夫妻も、倹約して頭金を貯め、念願の自分達だけの空間・新築マンションを手に入れた。

 

毎日が楽しい日々。妻から見送られ玄関から出ると、明るい色調の塗装や重厚な趣のタイル面が「おはようございます」と出迎えてくれる。

 

最新式のエレベーターで1階エントランスに降り立つと、広い空間に透き通るような白色の天井と石畳の床面、左官仕上げを施した壁面は、和とも洋とも取れるが非常にいい雰囲気である。

 

大きなガラス張りの壁の向こう側には、玉砂利を敷き詰めており、楓が1本佇んでいる。秋にはきれいな紅葉をみせてくれるだろう。

 

「やはり和か」 などとどうでもいいことを心の中でつぶやき、自動ドアに見送られながら朝日の中へ飛び込む。

 

数歩進んだところで、たまに振り返る。

 

重厚で洗練された佇まいのおおきな城は、「いってらっしゃいませ」と笑顔で送り出してくれているようだ。

 

仕事中も、帰るのが楽しみで仕方がなく、でもこれからの生活を考えると「頑張らないと」と精を出せる。

 

夜は夜で落ち着いた感じの照明で照らされた外装が出迎えてくれる。

 

エントランスでは、どこかのラウンジを想わせるダウンライトの明かりに心がなごみ「ただいま」と小さくつぶやく。

 

仕事はつらいこともあるが、「明日も頑張ろう」という気持ちにさせてくれるこのマンション。

 

いつまでもずっとそのままでいてくれると思ってた。

 

 

 

それから十数年後―――

 

小学6年の娘と3年の息子の二人の子供に恵まれ、T氏は次長に昇進していた。

 

はたから見ると、全てがうまくいっているように思えるが、実際は――。

 

会社では上からと部下からとの板挟みに遭い、早く出て遅くに帰るので子供の目を開けた顔を見るのは休みの日だけ。その休みの日も二人が友達と外出すると一緒にいる時間はそう長くない。

 

家にいる時間が圧倒的に少ない分、子供たちはやはり妻になついているようだ。

 

休日のリビングは、妻と、「もう部屋にいらない」といって子供部屋から追い出されたテディベアの3人でいることが多くなった。

 

妻とも新婚当初のような弾む会話は、今はない。

 

会話といえば、最近近くに出来たスーパーやドラッグストアの値段の比較、素行がよろしくないよその子の話、デパートの洋服売り場の店員の態度など。

 

俺に話をしているのか、テディベアにしているのか。

 

 

おもしろくない――

 

 

そんな気持ちを体現しているかのような光景を、最近毎日みるようになった。

 

朝玄関を開けると、雨垂れの跡がクッキリ入った塗装面と、何か白いものが流れ出てきて薄汚れたタイル面。

 

エレベーター扉の焼き付け塗装が剥げている。そういや自転車を毎回当てて乗り込む子供がいるっていってたな。

 

妻が「気を付けてね」といった日の夕方、その子の母親から「わざとやっているわけではないので、うちの子にとやかく言わないで欲しい」という苦情を頂戴したらしい。

 

エレベーター内には、「騒音を出さない様に」「バルコニーや廊下からゴミを落とさないで」「不審者をみた方は」というお願いの紙が、管理会社・管理組合の連名で貼られている。

 

おそらく1階の掲示板には、それ以外の「知らなくていい面倒くさいこと」も書いているだろう。

 

エントランスへ出る。全体的に暗い感じがする。天井や壁は元来の白さはなくなり、石畳の床にはぺしゃんこになったガム、石の隙間にはタバコの吸い殻が「絶対に手で押入れただろ」といいたくなる具合に深く入り込んでいる。

 

左官仕上げの壁面は、下の方に子供の靴だろう足跡が無数にある。あれは取れないな。

 

大きなガラス壁の周りからは水が入ってきているのだろう、牡蠣の貝殻のような模様が数ヵ所みられる。

 

ガラスには・・ はとのフンか?  向こう側に紅葉はない。

 

 

外に出た後、数歩行った後でマンションを振り返ることは最近なくなった。

 

昔の面影がなく、なんとなく今の自分と重なって見えるのがいやだから。

 

タイルから白いものが出ているし、塗装している壁からは茶色いものがいっぱい流れ出ているし、なんか壁が割れているところもあるし・・

 

近隣に建った新築マンションが視界に入る。 年は取りたくないな、お互い。

 

晴れない気持ちで一日が始まり、そして今日もなんとなく残業してしまう。

 

「ノー残業デー」なる会社から締め出される日は、真っ直ぐ帰ればいいのに外で飲んで帰る。

 

おんなじマンションに住んでいても、こんなに不幸なのは俺だけなのかもしれない――

 

 

 

                                                                   

 

 

 

沢山のマンション管理組合の方々と話をしてきて、色々な人間模様を目の当たりにし、自分の人生も重ねて綴った架空のT氏のお話です。

 

新築マンションを購入し、新しい住まいで夢と希望に満ちた暮らし、才色兼備の奥さんと可愛いお子さん、仕事にも恵まれているにも関わらず、なんとなしに自分は不幸なんじゃないかと思っている方もおられるのではないでしょうか。

 

希望を胸に手に入れたマンションが、次第に新築当初の洗練された姿ではなくなっていくのを見ていると、気持ちまで沈んでいくという話を聞きます。

 

仕方がないことと切り替えて、これからどうするかを考えていかなければなりません。

 

決して貴方が不幸な訳ではありません。

 

環境が変われば、これまでにない風景がみえ、全く違う考えが出来るはずです。

 

あなたのマンションを50年住み続ける場所に、終の棲家にするために、お手伝いさせてください。

 

 

かなり強引な持っていきかたでしたが、後の記事からは今の話をふまえながら大規模修繕工事の必要性について一緒に考えていきましょう。

 

 

続きを読む → マンション大規模修繕の必要性「修繕=元に戻す」

 

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