大規模修繕工事を成功させるための事前調査(シーリング材の劣化)

シーリング材の劣化

シーリング材の劣化

建物の階と階の間(新築時に、コンクリートを打継いだ場所→打継ぎ部という)にある、線状のゴムみたいなもの、それがシーリング材です。 

 

他にも、玄関枠や窓などのサッシの廻り(建具廻り)にもシーリング材が施工されています。

 

シーリング材の役割は、「防水上、弱い箇所への水の浸入を防ぐ」ことで、シーリング材の劣化は、水の浸入を許すことを意味します。

 

コンクリート(の塗装仕上げ面)の打継ぎ部へのシーリング材が劣化してしまうと、上下のコンクリートの隙間に雨水が入っていき、コンクリートを劣化させる、漏水を発生させる等の不具合を引き起こします。

 

建具廻りへのシーリングが劣化してしまうと、建具とモルタルの間に雨水が浸入し、部屋内への漏水を引き起こします。

 

建具への雨水浸入は、内部の鉄筋爆裂や、鋼製などの建具自体の腐食を引き起こし、玄関などは扉が開かなくなる、はめ殺しの窓(枠にガラスが取り付けられている、開け閉めが出来ない窓)はガラスが割れていくなどの不具合が出てきます。

 

又、タイル面の打継部のシーリング材が劣化すると、内部コンクリートの打継部へ浸水するのみでなく、タイルの付着力を弱くし、剥離の危険性を生み出す為、見過ごす訳にはいきません。

 

 

シーリング材の劣化の主な要因は、

 

  ●経年による劣化

 

  ●新築時(前回施工時)の施工不良  です。

 

 

 

階段室の壁面にあるコンクリート打継部のシーリング劣化。コンクリートから肌分れを起こして、雨水が浸入し易くなっている。溝部は雨水が流れる箇所なので、細心の注意を払いたい。

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階段室の壁面にあるコンクリート打継部のシーリング劣化。コンクリートから肌分れを起こして、雨水が浸入し易くなっている。溝部は雨水が流れる箇所なので、細心の注意を払いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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塗装仕上げの打継部におけるシーリング材の劣化。材料が痩せてひび割れが進んでいる。塗装下部であると保護されて劣化の進行が抑制されるが、浸透性のあるリシン吹付塗装の為か、劣化が進んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイル面の打継目地シーリングの劣化。中央部からきれいに割れている。右の塗装保護部は同様の劣化がないので、暴露による劣化か。

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タイル面の打継目地シーリングの劣化。中央部からきれいに割れている。右の塗装保護部は同様の劣化がないので、暴露による劣化か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイル面の打継目地シーリングの劣化。材料の痩せ方が顕著で、雨水の滞留によるコケの繁茂も見られる。付近タイルの浮きが確認された。

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タイル面の打継目地シーリングの劣化。材料の痩せ方が顕著で、雨水の滞留によるコケの繁茂も見られる。付近タイルの浮きが確認された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンクリートの打継目地シーリング材の劣化。目地の深さが浅いのに、わざわざバックアップ材を使用してシーリングの施工厚さを薄くしている。

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コンクリートの打継目地シーリング材の劣化。目地の深さが浅いのに、わざわざバックアップ材を使用してシーリングの施工厚さを薄くしている。
何らかのはずみでシーリング材に不具合が生じたらおしまいという例。実際ここまで劣化している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経年の劣化は、シーリング材が痩せる、ひび割れを起こす、剥離する等です。

 

しかし新築時(前回施工時)にしっかりした施工をしていたら、極端に酷い劣化はありません。

 

 

極端に劣化が進行しているとすると、

 

  ●2液性のシーリング材の撹拌不足

 

  ●材料の選定ミス(適材適所で材料を使用していない)

 

  ●プライマーが間違っているか必要箇所に使用していない

 

  ●鉛化合物入りのポリサルファイド系シーリングを使用している事での硬化不良

 

  ●天候・下地の状態を考慮せず施工されている

 

等の可能性があります。

 

 

材料の選定ミスで多い例が、露出面(塗装やタイルなどの外装材を上にかぶせない場所)の目地へ、ポリウレタン系のシーリング材を施工している場合です。

 

ポリウレタンは紫外線に弱いので、塗装などを上に施工する場所に使用します。

 

いずれにせよ、劣化したシーリング材、及び作業足場を架けてからしか施工が困難な箇所は、既存シーリングを撤去し、新たに打ち替える必要があります。

 

劣化したシーリングの状況を考慮し、適切な施工をして頂きましょう。

 

 

 

鉄扉枠廻りのシーリングの劣化。全体にひび割れが起こっている。

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鉄扉枠廻りのシーリングの劣化。全体にひび割れが起こっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄枠廻りにシリコンシーリング材が使われている。通常、シリコン系シーリングはガラス廻りに使用され、鉄扉やコンクリートには使用しない。シーリングの打替えをする際、通常の施工では納まらない。

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鉄枠廻りにシリコンシーリング材が使われている。通常、シリコン系シーリングはガラス廻りに使用され、鉄扉やコンクリートには使用しない。シーリングの打替えをする際、通常の施工では納まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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