塗装面の経年劣化
塗装に使われる塗料の成分は、大まかに分けて 「樹脂」と「顔料」の二つです。
樹脂とは、塗料の品質を決める成分で、性能が高い順に、「フッ素」、「シリコン」、「ウレタン」、「アクリル(新築当初はこれが使われることが多い)」等があり、マンションを守ってきた功労者です。
顔料とは、「色」の成分です。様々な色彩で、新築当初からマンションを彩ってきました。
これらは「経年」、「立地」、または「下地の不具合」等により、劣化が進行していきます。
まずは表面を固めていた樹脂が、長年の紫外線や風雨にさらされた影響で劣化が進み、それによって顔料が露出します。
健全な塗装面の場合は、触っても艶々しており、表面に付着した多少の汚れがついてくる程度ですが、劣化が進んだ塗装面を触ると、手にはチョークの粉のようなものがついてきます。
これは色の成分である顔料で、このように塗装表面が粉っぽくなる現象を「チョーキング」と呼びます。
チョーキングが起きますと、どんどん表面が劣化の道をたどるだけですので、早期の塗替えが望まれます。
又、リシン仕上げやスキン仕上げなどを壁面、さらには雨がよく当たる箇所に採用している場合、経年の雨垂れで大変な事になっている事が多いです。
塗替えの際は、汚れが溜まりにくい仕上げに替えましょう。
<写真1>
共用廊下腰壁のリシン面に発生した雨垂れ
塗装表面の劣化のみでなく、塗装自体が浮いたり、剥離したりもします。
要因として、
・塗装面自体の劣化で起こる場合(微細なひび割れから水分・外気が内部に浸透する)
・躯体コンクリートやモルタルが水分を帯びた為、などが考えられます。
主に外部、湿気が多い箇所、天井などに起こります。
又、結露が起こった為に、躯体コンクリート表面が不具合を起こし、塗膜が剥離する事もあります。
あまりに沢山の浮きや剥離がある場合、抜本的に解決しなければならない、何らかの事があるはずなので、慎重に調査をするべきです。
<写真2>
塗装面のふくれ。
<写真3>
雨水が塗装面の内側へ溜まり、ふくれた状態。
<写真4>
サービスバルコニー下、天井塗装の剥離。
修繕工事を考え出す時期は、竣工から10年以上経っているでしょう。
新築の時に適切な施工を行っていても、経年劣化で多少なりともこういう劣化はでてくるものです。
修繕の際は、下地の状態や相性も考慮し、適切な施工を行って頂くようにしましょう。