大規模修繕工事を成功させるための「バルコニーについての考え方」

大規模修繕時にバルコニー床面工事をする3つの理由

大規模修繕時にバルコニー床面工事をする3つの理由

 

バルコニー床面は日々劣化しています。
・・・ということは前の記事で記しました。

 

そうとは分かっていても、予算の都合で、部屋内への漏水の可能性が低い「バルコニー床面」に対する工事を、大規模修繕の際には先送りしようとするマンションもあります。

 

しかしながら、その判断は後悔を招くことになるかも知れません。

 

 

その理由を3つ記します。

 

① バルコニーの床面から部屋内へ漏水する可能性がある 

 

バルコニーの床面は表面がモルタルの場合、コンクリートが施工されたのち、防水モルタルが施工されます。
防水処理しているとは到底いえないその床面は数年経てば、水が浸み込むようになります。
ひび割れなどがあればなおさらです。コンクリートの施工が悪くてジャンカがあればもっと助長します。

 

そうやって躯体コンクリート内に入り込んだ水は、真下の階のバルコニー天井に出てくれば、被害は洗濯物程度で済みます。しかし内部の水路(みずみち)を通って、こんなとこから漏水が!といわれる箇所から出てきます。

 

この漏水を止めるには、バルコニー床面の全面改修しかありません。
部分的に直しても、他の場所にその後修繕の必要性がでてきたら、対処にかなりの労力を使います。
部屋内への漏水を防ぐため、バルコニーの防水工事は欠かせません。

 

 

② バルコニー内の工事は、足場がないとタイヘン!! 

 

よく「ゴンドラを設置して人や材料が移動すればいい」という人がいます。
よく考えてみれば分かるのですが、この方法には「ある種」の、ものすごいエネルギーを使います。
 
それは「時間と労力」。
ゴンドラでの移動は、上部に専用のレールがない限り、上下移動のみです。その上下移動も、高速では動かないので、かなりゆっくりです。
1つのバルコニー(隔て板の部分にまたがらせれば、2つが可能)の1工程が終われば、次の階に移動する。それを繰り返します。
そして、ゴンドラを横に架け替えて同じ作業を行っていく・・・

 

足場があれば、作業員は縦横無尽に移動できます。
また、人数がいれば複数の箇所を一篇に施工することもできるのです。
しかも、もし居住者からの指摘があれば、足場伝いに自由に確認・手直しができます。
ゴンドラ作業では、ここまでの自由はききません。

 

でもゴンドラならば、材料を一緒に上まで運んでくれるから楽な面もあります。
ここで考えるのは、ゴンドラの積載荷重。
よく使用される長さ約5.4mタイプや7.2mタイプは、積載荷重は300~350㎏程度です。
ここでは350㎏と想定します。
作業員2人が乗って、1ヶ所の広さが8㎡程度のバルコニーに、防滑性ビニル床シートを貼るとします。
平米当りのシートの重さは2.3㎏程度でシート1巻の重さは30㎏程度、貼付ボンドは平米当り0.4㎏程度で1缶18㎏と考慮します。
作業員一人当りの体重を65㎏とし、その他副資材も考慮すれば、余裕をみて8か所のバルコニー分の材料を積み込むことができます。
これは休憩時間をはさむ事を考えれば十分でしょう。

 

そんないい点もあるゴンドラですが、やはり足場の方がそれにも増してメリットをたくさん有しています。

 

 

③ やっぱり余計なお金が掛かる。 

 

なんといっても一番の理由はこれでしょう。

 

余分に管理費(ここでの管理費とは、工事で発生する一般管理費のことです)が掛かるだけではなく、ゴンドラの費用もばかになりません。ゴンドラではなく、部分足場を組むにしても結構な費用を要します。

 

お金とは関係ありませんが、部分的に足場を組む時は、安全のために通常以上の数の壁つなぎをとる場合があります。
せっかく綺麗にした壁に、またドリルで穴を沢山けるなんて、と思ってしまいます。

 

他にも色々理由はありますが、「大規模修繕時にバルコニー床工事をした方が良い主な理由」は以上の3点です。

 

余分なお金をかけず、合理的に、そして工事が終わった後の「キレイになった!」という言葉がより多い、そんな工事をして頂きたいと切に想います。

 

 

 

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