修繕積立金とは? 安いといいの?
例えば、鉄部が錆びてきたので「鉄部の塗装工事」、雨漏りが発生したので「防水層の補修工事」、建物全体が劣化してきたので「大規模修繕工事」 。
マンションに住んでいれば、様々な補修工事や改修工事を行うことになります。マンションの所有者は管理組合なので、これらを補修・改修するのは、やはり管理組合員である、区分所有者になります。
ですが、
「防水工事を行うので、みなさん20万円ずつ出してください。」
「大規模修繕工事を行うので、みなさん100万円ずつ出してください。」
などと急に言われても、通常は「はいそうですか」と払えるものではありません。
そのために、月々定期的に区分所有者みんなで蓄えるお金のことを「修繕積立金」と呼びます。
いまや、分譲マンションに住んでいる方々ではなくとも、その存在を知っている人は増えてきました。
毎月必ず出ていく共用部の光熱水費、清掃費、管理会社への管理委託費などを補う「管理費」とは事なり、修繕積立金は前述したように、建物に不具合が生じる、または改修の必要性が出てきたときのみ使われるお金です。
その性格上、そこまで必要性を感じてない人もいます。よって「管理費は掛かるものだから仕方がないとして、修繕積立金は安ければ安い方がいい」という認識を持ってしまいます。
果たして「安ければいい」のでしょうか?
新築マンションの売主は「デベロッパー」といわれ、手に入れた土地にマンションを建てて、新しい住まいを探している人々に売り込みます。
マンション売り込みの広告を見て、部屋の値段と同様に注目されるのが、「月々に掛かる経費」です。
「無駄なお金は出来る限り払いたくない」 そう思う人々が「おっ」と目を止めるのが、極端に安い修繕積立金です。
「なかなか良心的な金額じゃないか!」
「月々の支払いが少なくて貯金もできる」
そうして購入した新築マンション。
しかしその後、
「入居して1年で修繕積立金を2倍にする!?」
「5年ごとに修繕積立金を増額する!?」
「大規模修繕工事での臨時徴収!?」
という事実に必ず直面します。
なぜ安い修繕積立金に飛びつくと、この様な事態に陥るのか。
修繕積立金は、建物や設備の規模によって大まかに決まります。
マンションを40年~50年持たそうとすると、かなりの金額になります。
それなのに、新築当初の修繕積立金が低く設定されているのは、「売主(デベロッパー)がマンションを売りやすくするため」です。
「心理的に買いやすくしてあげますから、買って頂いた後は、居住者の皆さんでなんとかして下さい」というのが本音でしょう。
ここで、全てのデベロッパーがそういう売り方をしている訳ではないという事を書き加えておきます。
中には、最初から将来のことを見据えて計画を立てているところもあります。
これからマンションを購入する予定の方、及び既にマンションの区分所有者である方共に、「修繕積立金は、掛かるべくして掛かる」ということを念頭におく必要があります。
では適切な修繕積立金はどうやって判断すればいいの?
その判断は、「長期修繕計画」にて行います。
長期修繕計画については、後日記します。