長期修繕計画をみると修繕積立金が「見える」
分譲マンションの外壁修繕、防水工事などの、建物の劣化を直すために使われるお金が「修繕積立金」です。
修繕積立金の用途は、大きなスパンで行われる「大規模修繕工事」、防水層の経年劣化のために施される「防水改修工事」、その他、鉄部の塗替え工事、給排水管更新工事、漏水補修工事など多岐に亘ります。
工事には様々な規模があります。補修工事などの、作業員が半日動いて2~3万円で済んでしまう工事もあれば、数百万円の屋上防水工事、数千万円・数億円かかる大規模修繕工事もあります。
「自分の住んでいるマンションが、将来どれだけの修繕費を必要としているのか」それを知るには、マンションごとの「長期修繕計画」を正確に作成する必要があります。
長期修繕計画とは、これから将来、どれだけの修繕や改修の費用がマンションに掛かるかを、専門家の視点とマンションごとの特徴を踏まえ、例えば「○○年後には大規模修繕工事で△△円かかりますよ。そのためには修繕積立金をこのような計画で貯める必要がありますよ」ということが、グラフになって分かりやすく書かれているものです。
ここであえて「正確に」という一言を加えました。
それは、初めにマンション販売業者から作成される長期修繕計画が、そのマンションの現状に合っていない可能性があるからです。
それが起こる原因の一つは、たくさんのマンションを販売しているデベロッパー(不動産業者)が、以前作成した長期修繕計画を使いまわしているため、微妙なズレが生じているためです。そしてそれ以上に問題なのは、初めの安い設定の修繕積立金に見合う計画にする必要があるため、実際より少ない金額で修繕計画が設定されている恐れがあるからです。
初めは安い修繕積立金が、長期修繕計画の中で数年ごとに段階的に値上げされているケースも多く、安すぎる修繕積立金だと後々苦労が増えることが分かります。
もし購入前の方は、近郊のマンションと比較し、希望のマンションの長期修繕計画が適切かどうか、修繕積立金が将来支払い可能かどうかをよく検討して下さい。
それよりも怖いのは、安い修繕積立金で、将来もそんなに値上げがない場合です。
明らかにおかしいと感じた場合は、販売業者に問い合わせる、近郊の同程度のマンションと比較してみるなどして、明確にしていきます。
購入前ですと、買うか買わないかを考えることが出来ますが、既に区分所有者になっている方々も、早めに長期修繕計画の見直しをお勧めいたします。
当初の積立計画では到底足りずに、大きな資金不足に陥る可能性ある場合は、早めの修繕積立金値上げの計画を立て、区分所有者の理解を得る必要があります。
マンションごとに規模や設備が異なり、将来必要な修繕費も変わってきます。
それを決定する要因は何か。後日記します。