鉄部塗装での盲点
鉄部塗装の施工の際、壁面とは異なる注意点があります。
壁と違いデコボコではないので簡単そうにみえますが、小さな見落としを見逃さないで下さい。
<最後に裏側も確認>
各戸玄関扉の付近に、P.S(パイプシャフト)の扉があります。
この中に湯沸かし器が入っている場合、熱風を逃がすための穴が開いています。
<写真>
パイプシャフト内湯沸かし器の熱風を逃がすための通気口。
この穴付近を塗装する際、他の平面より入念にされる事でしょう。
最後のオモテをキレイにする事で頭がいっぱいになり、最後の見直しを忘れたらこうなります。
<写真>
扉裏面に垂れて固まった塗料
些細な事です。別に機能性に問題があるわけではありません。
しかし、見る人が見れば施工上の不具合です。
表を塗装した際に裏面を確認しておけば防げたことです。
裏に通ずる箇所は、最後に裏を確認して損はないでしょう。
<目に入らないところも手を抜かない>
扉の上下は、普段生活する上で見る事はまずないでしょう(身長が2m以上ある人は別として)。
鉄扉などを塗装する際、ここを忘れる事はないですか?
「住んでる人は見る事ないから、いいんじゃない?」 ではだめです。
自分が住んでいると考えて施工をすると、そんな気持ちもなくなると思います。
ましてや上や下なんて、一番水気を帯びやすいところじゃないでしょうか。
塗らなければ、そこから錆が広がり、新規の塗装面まで浸食していきます。
上下とも、手鏡や棒付きの鏡などで簡単に確認できます。
見えない所もきれいに。 良い工事の基本だと思います。
<写真>
P.Sの上部仕上げ確認
<急がば回れの気持ちで>
鉄扉とその枠を塗装する際、塗装後もある程度扉を開けておく必要があります。
表面が乾燥したので「もういいかな」と思い、閉めて帰ります。
すると次の日扉を開けたら、扉と枠がくっついてしまい、塗装がはがれる事があります。
塗り過ぎで厚みが付いてしまったなんていうのは問題外として、乾燥時間をしっかり確認して閉めましょう。
写真の例は、塗装の乾燥時間の問題もありますが、「丁番おこし」を使って扉を微調整して扉と枠の間隔を広げた方が良いでしょう。
<写真>
扉と枠の新規塗装がくっついてしまった。
鉄部の塗装は、壁面にくらべ神経を使わなければならないことが多々あります。
これらは居住者の事を考えられるようになれば、当たり前の事と意識出来るようになります。
そして外側からの劣化、内側からの腐食の両方を考えなければならないので、しっかりした施工ができるかどうかで、信頼性が大きくかわります。
又、外壁の塗料がいいからといって、鉄部に使用する塗料も同じくらい性能がいいとはかぎりません。
仕入れ値や商社、メーカーとの兼ね合いなどがあるでしょうが、良い材料を見極め、少しでもいい工事を提供できるように努力したいものです。
鉄部塗装で手戻りや指摘が多いならば、一度「自分が居住者ならば」という視点で工事を見直してみてほしいです。