大規模修繕工事を成功させる「シンナーの種類」

シンナーは1種類じゃない

塗装作業の

 

塗装を行う際は、そのままだとドロドロし過ぎて塗りにくいので、シンナーで薄めます。

 

シンナーは「うすめ液」とも呼ばれ、塗料を塗りやすくする、施工後の刷毛などの洗浄に使用されます。

 

塗装のことをあまり知らない人が、何も考えないでそこいらにあるシンナーを使って薄めると、不具合のもとになることがあります。

 

 

塗料の成分は、主に結合剤、顔料、溶剤、添加剤、硬化剤に分けられます。

 

この中で溶剤は、液体塗料内の結合剤である樹脂を溶解し、塗装後に揮発(蒸発)することで、塗料を硬化させます。

 

シンナー(うすめ液)は、この溶剤と同じ役割を持ち、塗料に加えることで塗料の溶解を助長し、作業性を上げます。

 

溶剤はいくつかの種類があり、溶かす強度(極性)と揮発する速さ(蒸発速度)が違います。

 

塗料の種類によって、溶剤の成分は異なり、当然蒸発する速さと塗料を溶かす強さは違います。

 

 

溶かす強度が強いのは、エタノール、ジアセトンアルコール、イソプロパノールなどで、

 

弱いのは、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどです。

 

又、溶剤の中で、蒸発速度が速いのは、ヘキサン、アセトン、酢酸エチルなどで、

 

蒸発速度が遅いのは、ミネラルスピリット、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノンなどです。

 

これらの成分を混じり合わせ、溶剤の性質を変えることによって、塗料はその性格を変え、それに合うシンナー(うすめ液)も生まれます。

 

 

ホームセンターでも手に入る代表的なものが、ラッカーシンナーと塗料用シンナーです(シンナーという名前ではなく、「うすめ液」として売られていることでしょう)。

 

この二つは性質がまるで違い、同じ売り場の棚に並んでいるから「どっちでもいいか」と適当に手に入れてしまってはいけません。

 

ラッカーシンナーは非常に溶かす力が強く、蒸発速度が速いのが特徴です。

 

蒸発速度が速いアセトン、酢酸エチル、溶剤としての極性が強いエタノール、ブタノールなどを含みます。

 

ラッカー系の塗料は、揮発性の高い溶剤を多く含み、乾燥が速いですが、乾燥した後の塗膜が幾分薄く、数度の塗り重ねが必要です。

 

 

塗料用シンナーは、近年増えてきた「弱溶剤系塗料」を希釈するシンナーです。

 

蒸発速度が遅い、ミネラルスピリットという溶剤が使用されています。

 

においの問題を考えなければならない大規模修繕などで、弱溶剤系塗料はよく使用されます。

 

主に外壁塗装や鉄部、塩ビ管などの塗装に用いられます。

 

水性塗料のように優しいにおいではありませんが、溶剤系のように強烈ではありません。

 

塗料用シンナーは、溶剤としての極性が弱いので、ラッカー系塗料に混ぜても希釈は困難です。

 

逆にラッカーシンナーは、弱溶剤系塗料を希釈することは出来るのですが、塗り重ねる際に、下部の塗装を侵してしまい、しわしわにする恐れがあります(この現象をリフティングとも呼んでいます)。

 

このようにシンナー(うすめ液)は、様々な溶剤から作られており、塗料によってどれを使うことが適しているかは決まっています。

 

ホームセンターや問屋さんから、普通に手に入れることが出来るラッカーシンナーや塗料用シンナーの他に、ある塗料や防水材専用で作られ、それを使うことが推奨されているものまであります。

 

若し、どのシンナー(うすめ液)を使用していいのかが分からない場合は、ラベルを見る、インターネットで調べるなどして、正しいものを使用しましょう。

 

不適当なシンナー(うすめ液)を使うことにより、硬化不良を起こしたり、下地を侵すリフィティング現象を起こして全てを剥離させやり直さなければならなくなったり、においがきつくて住んでいる人とトラブルになったりと、問題が沢山でてきます。

 

シンナー(うすめ液)による不具合は、あまり時間が経たないうちに出てくることが多いです。

 

適切な施工での見事な仕上げを期待します。

 

 

 

 

 

 


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