塗装の施工ミスをなくす(しわの発生)
なんで塗った塗料がしわしわになるんだろう・・・?
塗装作業は、大抵の場合は何層かの塗り重ねを行います。
それは異なる塗料を併用することで、優れた機能を発揮させるためであったりします。
又、厚い層を作りたいけど、一度に塗ると不具合が起こることが分かっているので、何回かに分けなければならない場合もあります。
この塗り重ねの際に、「しわ」の発生が起こることがあります。
ベテランの職人でもごくたまに起こしてしまうこんな「しわ」。
どんな場合に起きるかを、職人さんと考えました。
まずやりがちなのは、重ね塗りする塗料の溶剤の方が、下にある塗装面よりも強いとき、下の塗膜が侵されて軟らかくなり、膨らんでしまう現象が起きます。
この現象は、「リフティング」と呼ばれるものです。
例えば、下地が塗装用シンナーで薄められるような弱溶剤系塗料なのに、強いラッカー系の塗料を塗ってしまった場合や、錆止めのために黒ワニスが塗られたSGP(配管用炭素鋼鋼管)やSTKR(一般構造用角形鋼管)に、これまたラッカー系塗料を塗ってしまった時などに起こります。
既存の塗装面が古くても、躯体などの下地に密着していなければ起こる可能性が高いです。
又、下塗りや中塗りが乾かないうちに、次の塗料を塗るという行為も、リフティングを引き起こす要因になります。
これらを防ぐにはどうすればいいか・・・?
第一に、下地の塗膜の状況を確認し、きちんと密着しているか、さらにしっかり硬化しているかを確認する必要があります。
季節、気温による硬化時間が経っているか、触ってみてベトつかないかを確かめます。
ここで、弾性や微弾性の下地調整材などは、硬化しても柔らかいので時間経過と触感で判断します。
次に、いくら硬化してベトつかなくなっても、それよりも溶剤が強い塗料を塗ってしまえば、グジュグジュになってしまう恐れがあります。
同じ種類の塗料か、それよりも優しい(弱い)塗料を塗布しましょう。
もちろん、相性も大事です。
黒ワニスなどには、ラッカー系でなく弱溶剤系の塗料を施工すると、リフティングの恐れがなくなります。
しかし、SGP材などを海の近くで使用するなどで、耐久性を求める場合は、強い溶剤系の塗料を施工するために、ラッカーシンナーなどで表面の黒ワニスを剥離させるなどの処置をすることもあります。
上の例のワニスに限らず、古くて信頼できない塗膜は、剥離させることをお勧めいたします。
水性塗料のように自然に硬化する塗料や硬化時間が長い塗料は、不自然に乾燥させようとすると、表面にしわがよることがあります。
不自然とはどんなことをさすのか、それはドライヤーや温風器などで温かい空気を当てることです。
どうしても塗装対象物を温めたい場合は、温風器具は適度な温度にし、局部的に温かい空気が当たらないように気を付けます。
又、せっかく不具合を防ぐために何層にも分けて塗布するのに、面倒くさがってドップリ厚みを付けてしまうと、内部と外部の硬化に差が付き過ぎるため、これまたしわしわになる場合があります。
なぜそうするかを、もう一度考えて、適切な作業を心がけましょう。
以上のような塗料のしわは、その部分を撤去して再度塗装しなければなりません。
それも1層でなく、何層にかけてです。
一体自分らが何をやっているのか分からなくなります。
手間と時間が本当にもったいないです。
そうなる前に、きちんとした施工を心掛けましょう。