工事範囲を明確にしないとどうなる?
設計監理が入っている場合は、大規模修繕工事専用の図面が作成され、施工範囲が特定されます。
大規模修繕かし保険を申請する工事も、図面・着工前検査等により、施工範囲は明確になります。
その他の工事はどうでしょうか。工事範囲、明確にしていますか?
修繕工事専用の図面を作成しない場合、見積書と仕様書のみで着工する工事もあります。
すごいところは、見積書のみで工事を始める事もあるようです。
この場合、正確にどこを塗装するのか、どこを防水するのか、タイルの洗い・クリア材塗布は廊下内も入るのか、既存打ち放しコンクリート面はどうするのか等、分からない事だらけになってしまいます。
工事が終盤になって、はたまた竣工間近になって、「あそこはやらないの?」 「あそこは塗膜防水じゃなくて塗装なの?」 なんてやり取りが聞こえてくるのです。
例えば、既存の開口部(出窓など)の庇・面台が、モルタルのままだったり、塗装仕上げだったりします。
そういう箇所は、そのままにするのか、塗装をするのか、塗膜防水をするのかで、工期も工事費も変わってきます。
できれば塗膜防水を行い、漏水の心配をなくしたいところです。
例えば、外壁と共用廊下内に、それぞれ窓の面台があるとします。
両方とも既存がモルタルのままだとします。雨掛かりの外壁部のみを防水処理するのか、共用廊下内も同様にするのかを明確にするべきです。
施工範囲を曖昧なままにして、工事を進めてはなりません。
工事後、居住者に信頼されるどころか、不信感を植え付けてしまいます。
居住者だけではありません。実際に作業される方々も工事範囲が明確でないと、好き勝手に納める恐れも出てきます。
作業される方にも、一目見れば分かる施工図面を用意する事が望まれます。
なにより、施工図面があれば、現場代理人が楽です。
枚数用意して、工程会議にも使用できますし、工程表と照らし合わせる事により進捗状況も確認でき、工事全体の把握が容易になります。
若し、今まで管理組合から借りた図面をコピーしたもののみを使用していた方は、施工範囲を明確にした図面を用意し、視覚も動員した工程管理をお勧めします。