施工しない箇所はしっかり養生を
工事の際、修繕や改修を行う箇所以外に、施工しない箇所も出てきます。
そういう箇所は、しっかりと養生を施し、汚さない様にしなくてはいけません。
<エントランス>
風除室やエントランスホールは、床面をタイルや石で仕上げている場合が多く、「割れ」等の著しい不具合がない限りは、施工の対象外になる事がほとんどです。
風除室やエントランス内の塗装工事を行う場合はもとより、内部の塗装を行わないとしても、床面の養生はしっかりしましょう。
作業の際、作業員や資材が通過する際の汚染を防止する、および一時的に材料を置く際の床材の破損を防ぐためです。
養生材として、薄いベニヤ板や長尺シートの余り等が良いでしょう。
分厚いコンパネだと簡単に切る事が出来ないので融通が利かず、ブルーシートやフィルム状のものですと強度や防滑性に問題があります。
養生の方法として、薄ベニヤを床面に敷き詰めて、テープで繋ぎます。
若し、雨が当たる箇所や水気を常に帯びる箇所があれば、ベニヤの下にビニールシートを敷き、ベニヤからのアクが床材に付着するのを防ぎます。
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エントランス床面養生。ドアの開閉、メンテナンスなどに支障がないように。
<エレベーター内>
エレベーター内壁の養生は、長い部材を運ぶ許可を取った場合は身長を超える上の方まで、そうでなければ大人の身長の高さくらいまででいいと思います。
サブロクの大きさのプラダンは、長手方向が1800㎜程度なので、これをつなぎ合わせて壁の養生に使えます。
床もプラダン等で行います。
薄ベニヤなどでもいいですが、エレベーター内という小さなスペースでは、多少臭いが気になりますので、プラダンや長尺シートの切れ端が最適でしょう。
床寸法をあらかじめ測り、それに基づいて外部で材料を切ります。
床を傷つけないように、ここでも養生をしっかりします。
「下がコンクリートやアスファルトなら養生要らないんじゃない?」なんて考える人がいますが、カッターで材料を切れば、床がコンクリでもアスファルトでも傷がつきます。
やっぱり住んでいる人からみれば、「勝手に傷つけて!」「ちゃんと下に何か敷いておけばならなかったんじゃない?」という気持ちになります。
床材を敷き込み、壁も養生して完成ですが、ボタンを押せるようにすることを忘れずに。
ボタンも様々な職種の人が触ることになるので、クリアシートを貼るなどの養生をします。
クリアファイルを適当な大きさに切って使用したり、ホームセンターなどに売っている薄手の透明なテーブルクロスなども使えます。
工事中、マンション居住者や第三者が汚しても、施工業者の責任になる場合があるので、そのような種は出来る限り摘み取ります。
奥の扉は、開けば緊急時に担架などが積載できる「トランクルーム」になっていますので、開閉できるように養生します。
もし、普段床面にゴムシートなどが設置されていて、薄ベニヤを張ることでトランクルームの開閉を妨げるようならば、ゴムシートを一時的に撤去・保管し、薄ベニヤを敷くなど、扉は開閉できるようにした方がいいでしょう。
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エレベーター内の養生。奥の扉は救急時に担架やストレッチャーなどが搬入できるようにするトランクルームなので、開閉できるように養生します。
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エレベーター内の養生。ボタンもしっかり養生します。
<その他>
工事用トイレは、仮設トイレを設置することが望ましいですが、管理組合の要望や、やむをえない理由で集会所や管理棟のトイレを使用することがあります。
そういう場合も養生を行います。基本的に壁面・床面など、全てを養生しますが、工事後に内装を新しくすることが決まっている場合などは、管理組合と協議して決めてもいいと思います。
バルコニーなどに設置されているアルミ手摺ですが、何もせずに工事を始めると、様々な弊害が生じます。
まず、外壁補修などにでるコンクリートガラや補修材などが付着し、汚れてしまいます。
清掃すれば大丈夫といわず、最初から汚さないように養生しておいて損はないでしょう。
養生テープやスポンジなどを使用します。
普段通行しない場所でも、一時的に利用する場合は、簡易の養生をするなどで、少しでも汚染を抑制する処置を行います。
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管理棟のトイレ内養生。汚してはいけないところなどを管理組合と協議し、養生を行う。
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バルコニーのアルミ手摺。養生をしていないと、補修材や塗料が付着してしまう。材料によっては完全に取れないこともある。
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普段通行しない箇所も、一時的に利用する場合は養生を施す。