高い!安い!だけじゃダメ。単価を理解することは、工事を理解する事

●●工事が高い理由を説明できますか?

●●工事が高い理由を説明できますか?

 

質疑応答の際、「なぜこの項目の金額がこんなに高いの?」 という質問があります。

 

特に多いのが、「足場の金額」と「外壁劣化調査に掛かる金額」についてと思われます。

 

これらの項目は、竣工後の仕上げ(出来栄え)には直接の関係はありません。

 

よって居住者の皆様が、「そこが安くなればもっといい材料で仕上げられるのでは?」という考えを持つのは至極当然のことと思われます。

 

 

「居住者の立場に立って」 工事を進めることは非常に大切な事です。

 

しかし、ここで同調し、「そうですよね。こんなに掛かったらもったいないですね。ではすべてゴンドラでの作業にしましょう。 調査もそこそこに、時間をかけずに補修に取り掛かります。」と返事をするようならば、本当に居住者の立場に立っているとは言えません。工事会社失格です。

 

 

中には作業足場を設けず、ゴンドラでの作業で大規模修繕を行う施工会社もおられるようです。

 

しかしそれは極一部の 「その工事の進め方でプロフェッショナルに域にいる集団」 です。

 

一般的には、作業足場がある事が前提で作業員は改修工事を進めていきます。

 

 

●作業員が安心して作業が出来る様に安全・機能性を重視した足場が必要な事、

 

●工事の際、コンクリートタイルの欠片、塗料などを周囲に飛散させない為、

 

屋上防水改修工事を行う場合も、端部の施工を安全に行う為、

 

現場代理人や監理者が常時進捗状況を確認する為、

 

●場合によっては管理組合や修繕委員会の方々が一緒に検査を行う為、

 

等の理由で、作業足場が必要な事を理解して頂きましょう。

 

 

「足場が必要なことは分かったが、なぜそんなに高いの?」 という疑問には、

 

とび職という特別な職業の作業員が、延何十人、何百人という人数で作業する事、

 

●膨大な数量の部材を必要とし、現場終了毎に各部材のメンテナンスが必要な事、

 

●荷揚げ時に大型のクレーン車を必要とする事(敷地や周辺道路の事情で不可能な事もある)、

 

等の理由により、足場の単価が決まることを理解して頂きます。

 

又、非常に入り組んだ形をしている建物、敷地が狭くて作業性が著しく鈍るなどの場合は、通常よりも単価が上がる事も了承して頂かなければなりません。

 

足場工事の金額を、安く提示してくる施工業者もあります。

 

安く出来る理由として、元請である施工業者自体が、足場部材を保有している・足場の鳶(とび)職人さんが常勤でいる場合です。

 

大抵、足場工事は足場専門の会社に頼むのですが、ある程度の規模の会社は、自分のところで足場部材や職人さんを揃えています。

 

もう一つの理由は、単に質のよろしくない足場を想定している可能性があります。

 

 

 

 

外壁調査に関しては、「時間を掛けずに」 なんてできません。

 

どれくらい劣化しているのかを入念に調査し、最終的に補修箇所を図面に残さないといけないからです。

 

「調査になぜそんなにお金がかかるの?」という疑問には、足場作業と同じく、延べ人数にして結構な人員が必要な事(マーキングや図面に書き込む等も)、マーキングのための材料(スプレー、養生テープ等)をかなり消費する事、現場で作成した数量表と劣化図面を、パソコンソフトを使用して誰が見ても分かる様にするため、等の理由により、調査の金額は高くなります。

 

尚、劣化図面や数量表は、実際に補修工事にかかった金額を算定するためだけでなく、工事完了後の定期点検の際も必要になってきます。

 

決して現場で 「ここが劣化しているみたいだ」 と確認するだけの単価でないこと、現場での調査以外のところでもかなりの人件費がかかることを理解して頂きましょう。

 

なによりも、居住者の方々に説明できるようになるということは、自身がその単価について、工事についての認識を深めているということに置き換えられます。単価一つ一つに意味があり、人やものの動きがあることを理解していきましょう。

 

 

直接仕上げに関係なくても 「仕上げのために必要不可欠なこと」 という考えを施工会社、マンション居住者みんなで共有しましょう。それが質の良い工事を進める足掛かりになります。

 

 

 

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