写真は沢山撮りましょう。
皆様は大規模修繕工事の調査の際、どのくらい写真を撮りますか?
10枚? 50枚? もう少しいって100枚くらいでしょうか?
写真を撮る時間にも限度がありますが、沢山取るにこしたことはないです。
どうして沢山撮るのかは、いくつか理由があります。
まず、机の上で見積作成の段階になったら、調査時の事はあまり覚えてないからです。
調査時に現場の特徴を、事細かに図面に落としている方もおられます。 私もそうです。
細部の寸法、既存シーリング材打設の位置、顕著な劣化位置、端部の納まり、雨水管の本数、排水ドレインの数等々・・・。
そして、いざ図面から様々な数量を拾い出そうとしたとき、
「ここはタイル面・いや塗装面だったかな?」
「壁と巾木の取り合いはどんなだったっけ?」
「ここの天井はボードやったっけ?」
「本当にここはアルミ手摺やったっけ? 腰壁があったような気がしたんだけど・・・」
などの疑問が出てきます。
それら全てを図面で確認しようとしても、図面自体が正しくない場合が結構あります。
きちんとした竣工図面でも若干実物と異なる場合がありますが、マンションによっては竣工図書ではなく、確認申請時の図面しかない時もあります。
ひどい場合は、確認申請時の図面をそのまま竣工図面にしてしまう業者もいるからよろしくありません。
当然、そのような図面達は正確な情報を教えてくれません。
そこで写真を確認するのです。
「やっぱりここは塗装面だった。」
「溝の方は巾木よりも塗装面が出ているのに、玄関側はフラットだ。」
「最上階だけ天井はボードだ。」
「真ん中の3部屋だけアルミ手摺じゃなくてコンクリートだ。危ない危ない・・・。」
という具合で写真をくまなく撮っている程、現場に再確認に行くという手戻りをしなくて済みます。
写真を多く撮っておいた方がいいもう一つの理由は、調査報告書やプレゼンテーション資料を作成する時に、沢山写真があった方が選択の幅が広がります。
躯体の劣化状況、納まりの不具合状況を説明したくて、撮った写真を使おうとしたら、1~2枚しか撮っていなかった写真がピンボケしていた、指が入っていた、暗かった、別の調査員の足が入っていた、等で使えなかったという事態があります。
そういう事態を少なくする為に、同じような事象の写真は何枚か余分に撮っておきましょう。
ひび割れ、爆裂、シーリングの劣化、塗装のチョーキング等、写真として多い方が、調査報告書としても見栄えが出てきますし、管理組合の方にも今のマンションの状況をよく知って頂けます。
又、建物を隅々まで見てみましょう。よく見ないと分かりませんが、
「溝の入隅に多数の空洞がある。」
「パラペットのアゴ下に大規模な爆裂・露筋がある。」
「機械室内壁・塔屋内壁等はジャンかだらけだ。」
「普段見える箇所のタイルは役物を使用して見栄えがいいが、居住者の目の届かない箇所は役物もなく仕上がりも悪い。」などの事も見えてきます。
小さなことですが、それらを居住者の方々に伝えることで、当該マンションの事をよく考えていると理解して下さる場合が多いです。
実際に「他業者よりもこのマンションの問題を親身になって考えてやる。」という気概を持って挑んで下さい。