玄関枠塗装日は扉を開けていただきます(1)
大規模修繕、及び鉄部塗装工事などでは、「玄関枠の塗装」を行う場合がほどんどです。
他の鉄部塗装工事とは異なり、玄関枠(扉自体の仕上げが塗装の場合は扉も含むことがある)の塗装は、居住者の方に扉を開けて頂かなければ作業はできません。
昼間、外出している世帯がほとんどというマンションは、稀に「外側だけでいいですよ」と言って頂けることがあります。錆の気配があまりない扉の場合はそれでもいいと思います。変に塗り重ねを行って仕上げ層が厚くなり、枠と扉のクリアランス(隙間)が狭くなることも防げます。
しかし結露や雨水などの影響で、塗り替えの必要がある場合が多く、その際はやはり居住者の方に在宅して頂いて、工事を行います。
玄関枠塗装の日程が近づいてきましたら、アンケートを配布します。回答内容は、号室・氏名・(必要ならば)電話番号・希望の日時などです。
日時は、施工業者によって様々です。(必要ならば)ゴムパッキン外し、ケレン・清掃、錆止め材塗布、中塗り材塗布、上塗り材塗布、ゴムパッキン戻しをどのくらいの間隔で行うか、いくつの戸数を同時に回るか、塗料は速乾性か否か、協議の上で中塗りを省くか、などで変わってきます。
また、管理規約や管理組合の意見を参考にし、枠のどこまでを塗るのかも明確にしておかなければなりません。
それによって、ゴムパッキンを外す必要があるのかどうかも出てきて、一戸当たりにかかる作業時間にも大きく影響してきます。
ここで「協議の上で中塗りを省くか」と書いていることに、「そんないい加減な業者はよくない」と言われる方もおられるでしょう。
塗料メーカーも「鉄部塗装は防錆処置の上に弱溶剤系の上塗り材2回塗り」と謳(うた)っているのですから。そうだとしても、錆なんて全く発生していない、少し塗装のツヤがなくなっているだけの場所に、錆止めも含めた3回塗りは必要でしょうか?
外部に面した場所、開口付近にあって外気の影響を受けやすい場所ならば必要でしょう。しかし基本的に内部に当たる玄関枠、しかも塗り厚が増してくるとクリアランスが狭くなる場所への過剰な塗装は、後に問題を起こす事もあります。
現状に問題ない場合は、下部のみの部分的な防錆処理、錆止め後の上塗りを1回にするなど、可能な限り予算・作業時間・その後のクリアランス問題などを加味した施工を、工事保証の件も踏まえて、施工業者とマンション側で話し合われることをおすすめいたします。
(極端な話、玄関枠を含めた雨掛りではない場所の鉄部塗装は、もう少し表面劣化が進んでからやろうという決定も良いと思います。しかしそれを言ってしまっては、ここの話が進まなくなってしまいますので大きな声では言いません)
次の記事では、施工業者がどのようなアンケートを配布し、施工当日はどのような流れになるかを記していきます。