住みやすいマンションにするための「誰がマンションを守るのか」

誰がマンションを守るのか?

誰がマンションを守るのか?

 

数々のマンションに伺っていると、様々な方が住まれており、様々な人間模様を垣間見る事があります。

 

 

 

あるマンションは、管理会社に管理を委託しない、「自主管理」です。

 

 

そのマンションには、新築当初からの世話役(世話好き)のAさん夫妻という方がおられて、いつでも居住者のみなさんを助ける為に、理事の役を買って出ます。

 

でも順番が回ってこない限りは、理事長にはなりません。

 

マンションの事をみなさんに知ってもらう為、区分所有者全ての方が責任を請け負って、マンションの事を真剣に考える機会を作る為です。

 

何か問題が発生しそうな時も、Aさん夫妻が潤滑油になって解決に導き、皆さんを安心させてくれます。

 

初めは管理組合の活動に関心を持っていなかった方々も、理事長を任された時のAさん夫妻の行動に触発され、任期を終えても管理組合運営のお手伝いをするという、好循環が出来上がっています。 

 

年配の方も若い方も皆、Aさん夫妻の「自分たちの資産を守っていく」、「みんなで共存していく」という信念を感じ取り、管理組合運営の事や、建物の事等を勉強しています。

 

Aさん夫妻は、このマンションの区分所有者でもありますが、そこより空気がきれいなところに家も持っており、たまにそちらにも帰っています。

 

「こんな街中よりも田舎の家の方がいいでしょうに」といったところ、こう返してくれました。

 

「私らがいなくても、みんなはうまくやっていけるだろう。でもまだまだここに居たい」

 

後にAさん(旦那さん)を中心とする3名で、管理組合をフォローする、世話役団(Aさんが考えた正式な名称を、何度も聞いたのですが、何度聞いても忘れます。スミマセン・・・)を結成し、管理組合と一緒にマンションを盛り上げています。まるで有川浩の物語のように。

 

このマンションの方々とお話しているだけで幸せな気分になり、極端ですが、敷地内にいるだけで幸せオーラを感じる様な気がして、ここなら住んでもいいな、という気持ちにさせてくれます。

 

 

 

 

又、あるマンションは、管理会社に管理を委託しているマンションです。

 

 

1階には管理人室があり、ここには月曜から金曜の昼前から夕方迄、管理人さんがおられます。

 

この管理人さんは非常に勤勉で、居住者の方々と元気に挨拶を交わし、朝は皆さんを送り、夕方は学校帰りのお子さん達を迎えます。

 

マンションを隅から隅まで熟知し、居住者の声を聞きもらさず、マンションをよくしようとする気持ちを持っています。

 

しかし、管理会社本体とフロントマン(担当者)が頼りない。 

 

管理会社は、利益重視、お客さんである居住者の気持ちはあまり考えていない様に思えます。

 

ここに住まわれている居住者の方々は、大抵感じの良い方が多く、周囲の方とも仲が良さそうです。

 

しかし、中には休みの日にフロントマンを呼び出し雑用を強いる等、不当な要求をする人もおられます。

 

具体的な話を聞いたのはお二方の例でしたが、そういう方は一人や二人ではないとの事です。

 

その話は、後で管理人さんに聞いた話だったので、正直驚きました。 

 

というのもその方々は、私や他の人間には、非常に友好的に接して下さっているからです。

 

理由を私なりに突き詰めていった結果、管理会社への不信から来ているものだと気付きました。

 

そもそもそんなにマンションの管理に精通している風な感じではなく、会社の上層から、社風なりスローガンなり、社員に何かを発信している気配がありません。

 

「うちの管理はここがウリです!」、「こんなところに気を配って皆さんのマンションを見ています!」、「皆さんと一緒になって頑張って行きます!」といった空気が、まるでないのです。

 

フロントマンも、契約を切られたら困るので、渋々動いている様な感じがします。

 

管理人さんに言いました。

 

 「管理人さんがマンションをいい方向に変えていったらどうですか?」

 

するとこう答えてくれました。

 

 「そうしたいのはやまやまだが、板挟みにあって身が持たないよ。」

 

管理組合は、管理会社を替える為の見積を取っている様です。

 

管理会社から派遣される管理人の方がそのマンションの任務につきますので、その方はいなくなる可能性が高いです。

 

顔見知りだった方と急に会えなくなるのは、いつになっても寂しいものです。

 

 

 

 

例に挙げた二棟のマンション、人によっては様々な見方があり、どこが良い、どうすれば良かったか、という答えも様々だと思います。

 

が、ここで私が感じるのは、

 

 

「一生懸命に想う気持ちは伝染する」、

 

「想いがあっても動けなければ意味がない」

 

の二つです。

 

 

前出のマンションは、自主管理ながらマンションの事を本当に良くしたい、心地良い場所にしたい、という気持ちがAさん夫妻にあり、それを伝播していきました。

 

知識や経験は、様々な業者、他の管理組合の方々からアドバイスを貰ったり、書籍を読んだりしてあとから付いてくるものです。

 

年数が経って色々な事を他の居住者のみなさんに教えていかれました。

 

その懸命さが、問題の種をも消し去り、人々を惹きつけ、みなさんを同じ方向へ向かわせたのだと思います。

 

 

一方、後出のマンションは、本来一番動かなければならない管理会社とフロントマンの対応が良くなく、居住者の不信を買いました。

 

そしてそれは態度になって表れます。

 

「管理人さんが主体になって動けばいいじゃないか」と言われる方もおられるでしょう。

 

確かに、この管理人さんの様な方が主体になって、マンションというコミュニティを活気付けていければいいです。

 

が、どこまでやるかという権限の問題、ボランティア活動ではないので頂いている給与の問題、そしてその様な管理会社なので、動きが良い人に仕事を押し付けるという悪循環の問題が重なり、実現は困難なものです。

 

 

 本来、知識と経験でマンションをバックアップするべき管理会社に、マンションを想う社風があれば。

 

 そしてその会社の想いを、フロントマンがしっかりマンションに伝える事が出来れば。

 

 万が一、それがない場合、やる気のある人が精力的に動けるステージを用意してくれれば。

 

 

 

そして、「自分たちのマンションは自分たちで守る」 という気概のある居住者の方々が出て来てくれれば。

 

・・・と、切に想います。

 

 

 

 

 

 


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